我国は、今や他国がかつて経験したことがない高度の「高齢社会」へ向けて、これ又他国が経験したことのない早いスピードで高齢化の度合を高めつつある。
「高齢社会」の到来は、日本が高度の先進国となったための1つのあかしであり、それは数多くの享受すべき利点をもたらすであろう。しかし多くの識者が警告する通り、それは同時に数多くの解決すべき問題点をももたらすことは確実である。
それら問題点の中で最も重要なことの1つは、医学の進歩と生活水準の向上の結果必然的におこってくる高齢虚弱で介護を必要とする老人の大幅な増加である。一方社会発展の原動力となった工業化の進展は、いくつかの媒介変数を間において、確実に、これまでの家族による介護体制を弱体化させるであろう。したがって、これを補完し、また場合によっては家族にかわって要介護老人を介護するための公的サービスを急速に整備することが必要である。
だが、要介護老人といっても、その二一ドの種類と程度は様々であって、これに対応するためには数多くの異なったサービスから成り立つ1つのシステムを構築する必要がある。しからば、そのシステムの構造や機能は如何にあるべきなのであろうか。この点になると高齢化が我国よりもはるかに進んでいる欧米諸国でも未だ定見が得られていないのが実情である。
ここに報告するのは、我国における要介護老人のための公的サービスの最適システム研究の第一歩として、東京都老人総合研究所が行った「特別養護老人ホーム及び同利用者実態調査」の結果を整理したものである。最適システムに関する研究は、この調査結果を1つの材料として進められているが。この調査結果は、それ自体としても公私老人福祉関係者や関心を有する都民の方々にお役に立つことと思われるので印刷配布することとした。
なお、末筆となってしまい恐縮であるが、この調査の実施にあたり、御多忙の中を御協力下さった都内各特別養護老人ホームの施設長、職員の方々に、心からの謝意を表する次第である。
1981年3月
東京都老人総合研究所
「最適システム」研究プロジェクト・チーム
代表 前田大作(社会学部長)