主要組織適合抗原 アミロイドーシス 腎尿細管機能 虚弱
尿中に排出される分子として知られていたが主要組織適合抗原HLAの構成成分であることが明らかになり注目されている(Ref. 1)。β2mは分子量約11,800のポリペプチドで赤血球を除く細胞表面に発現している。低分子量であるために糸球体基底膜を通過するが大部分は近位尿細管で再吸収される。このため腎糸球体障害の指標として利用されている。腫瘍細胞膜表面由来のβ2mが血中に増加することも知られている(Ref.2)。
分子量約11,800でクラスIMHC抗原(主要組織適合抗原)のα鎖と非共有的に結合している。従って容易に解離しやすいとされている。
主要組織適合抗原に結合し、他の分子と会合して小胞体から細胞表面に搬送される際にloading complexを形成するのに必要とされている。
長期透析患者に発症する全身性アミロイドーシスの前駆分子がβ2-microglobulinであることが下城らにより明らかにされた(Ref. 3)。新開等は地域高齢者1034人を対象とした約8年間の長期縦断研究により血中β2-microglobulinの濃度と死亡リスクが相関することを発見した(Ref. 4)。他の炎症性マーカーより有効であると報告している。その機序は未解明である。
human:
ENSG00000166710
mouse:
ENSMUSG00000060802
1)Cunningham BA, and JL, Berggård I, Peterson PA (1974). The complete amino acid
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2)片桐一、板倉克明、丸山直記、守内順子、相沢幹、三国主税 悪性腫瘍患者血清中のβ2-microglobulin. 医学のあゆみ
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3)Gejyo F, Arakawa M.
New type of amyloidosis: β2-microglobulin
and hemodialysis.
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5)小川貴志子、藤原佳典、吉田裕人、西真理子、深谷太郎、金 美芝、天野秀紀、李 相侖、渡辺直紀、新開省二.「基本チェックリスト」を用いた虚弱判定と虚弱高齢者の血液生化学・炎症マーカーの特徴.日本老年医学会雑誌
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丸山直記 20120725
Update July.25.2012