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[PPP1CA family]
PPP1CA; PROTEIN PHOSPHATASE 1, CATALYTIC SUBUNIT,
ALPHA ISOFORM
[別名]
PPP1A; PROTEIN PHOSPHATASE 1, ALPHA SUBUNIT
PPP1CB; PROTEIN PHOSPHATASE 1, CATALYTIC SUBUNIT,
BETA ISOFORM
[別名]
PPP1CD; PROTEIN PHOSPHATASE 1, CATALYTIC SUBUNIT,
DELTA ISOFORM
PROTEIN PHOSPHATASE 1-BETA
PROTEIN PHOSPHATASE 1-DELTA
PPP1CC; PROTEIN PHOSPHATASE 1, CATALYTIC SUBUNIT,
GAMMA ISOFORM
[別名]
PPP1G; PROTEIN PHOSPHATASE 1, GAMMA SUBUNIT
キーワード
脱リン酸化、ATPase、Rサブユニット、内在性阻害タンパク質
歴史とあらまし
タンパク質の多くの物はリン酸化されている。多くのリン酸化はタンパク質の機能制御に関与している。タンパク質リン酸化はタンパク質のリン酸化は、Ser, Thr, Tyr残基が主であるが、９９％のリン酸化はSer/Thr残基においてである。タンパク質リン酸化の制御においては、キナーゼが注目を浴びやすいが、可逆的なキナーゼとホスファターゼ両者の反応により制御される精緻なタンパク質リン酸化が細胞の制御に必須である。
分子構造
PP-1は耐熱性のタンパク質I-1(PPP1R1Aの項参照)、I-2により強力に阻害される一群のホスファターゼである。ヒトの場合323-330アミノ酸残基からなるFeおよびMnイオンを活性中心に含む。PPP1CA、PPP1CB、PPP1CCの３種類のアイソフォームが同定されており、いずれのアイソフォームも脊椎動物では良く保存されている。
428のセリンスレオニンキナーゼ(protein Ser/Thr kinase)がヒトの遺伝子上に同定されたが、セリンスレオニンホスファターゼ(protein
Ser/Thr phosphatase, PP)はわずか30である(1)。PP-1触媒サブユニット（Catalytic subunit,
Cサブユニット）は各種の制御サブユニット(Regulatory subunit,
Rサブユニット)と結合して複合体として存在する。これらの複合体がPP−１に多様な生理機能を付与し、多数のキナーゼに対応している(1)。
機能
PP-1はタンパク質中のリン酸化Ser／Thr残基を脱リン酸化する。PP1の触媒サブユニットは常に活性を示すが、PP1には少なくとも100以上のRサブユニットが存在し、RサブユニットはCサブユニットの活性、基質特異性、局在などを制御している。神経系にはneurabinI, neurabinII (spinophilin), PP1R15A (GADD34), neurofilament-L, AKAPs等のRサブユニットが存在する。また、PP1の活性は内在性阻害タンパク質(I-1, I-2, CPI-17, DARPP-32, G-substrateなど)によっても制御される(1)。これら内在性PP阻害タンパク質の中には、その阻害活性がキナーゼによるリン酸化に依存するものが多数存在する。キナーゼに依存したPP阻害活性化は、キナーゼによる標的タンパク質リン酸化を維持してその生理機能を増幅する。
老化・老年病における意義
PP-1は陳述記憶を担う海馬LTDに重要な役割を果たす（２）。また、老化に伴い脳内でPP-1活性が増加する事が示されている（３−５）。PP-1活性の増加が、認知機能低下、記憶低下、そして、分子レベルではNa+-K+ ATPase活性の低下等に関与する事が示唆されている（３-５）。たとえば、リン酸化を介したNa+-K+ ATPaseの活性低下は神経細胞の膜電位維持、そして、神経活動後の膜電位回復に密接に関わっていることから、様々な脳高次機能に障害をもたらす可能性が考えられる。
Database
MIM ID 176875 PPP1CA
MIM ID 600590 PPP1CB
MIM ID 176914 PPP1CC
参考文献
1．Mansuy IM, Shenolikar S. Trends Neurosci. 29:679-686, 2006 (PMID:
17084465)
2. Mulkey RM, Endo S, Shenolikar S, Malenka RC. Involvement of
a calcineurin/inhibitor-1 phosphatase cascade in hippocampal long-term
depression. Nature 369:486-488, 1994 (PMID: 7515479)
3．Genoux D, Haditsch
U, Knobloch M, Michalon A, Storm D, Mansuy IM. Protein phosphatase 1 is a
molecular constraint on learning and memory. Nature 418:970-975, 2002 (PMID:
12198546)
4. Waddell S. Protein phosphatase 1 and memory: practice makes
PP1 imperfect? Trends Neurosci. 26:117-119, 2003 (PMID: 12591211)
5.
Kawamoto EM, Munhoz CD, Lepsch LB, de Sá Lima L, Glezer I, Markus RP, de
Silva CL, Camarini R, Marcourakis T, Scavone C. Age-related changes in
cerebellar phosphatase-1 reduce Na,K-ATPase activity. Neurobiol Aging.
29:1712-1720, 2008 (PMID: 17537548)
作成者
遠藤昌吾 20111115
Update 20120228