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TGFB1; TRANSFORMING GROWTH FACTOR, BETA-1
[別名]
TGFB;
TGF-BETA
daf-7
キーワード
トランスフォーミング増殖因子、癌抑制因子、daf-7、寿命延長
歴史とあらまし
Molony肉腫ウイルスによってトランスフォームしたマウス3T3細胞が分泌する正常細胞を癌化させる因子として単離された(1)。TGF-βはアクチビン、BMPとともにTGF-βスーパーファミリーを形成し、細胞増殖や細胞分化、細胞死などを調節するサイトカインである(1)。線虫C. elegansのTGF-βスーパーファミリーの一つのdaf-7は環境ストレスによる発生スイッチに関わる遺伝子として見出されたが、2007年遺伝子変異体の寿命が野生体に比べて約2倍の寿命を持つことが発見された（2）。
分子構造
線虫daf-7は分子量約4万の前駆体として合成された後、分子量1.2-1.5万のペプチドとなり、ジスルフィド結合2量体として機能する(1)。
機能
線虫では感覚神経細胞（ASI）で種々の環境因子を感知して発現し、エネルギー代謝や脂肪代謝、休眠、摂食行動を制御する。I型II型の2種類のセリンートレオニンキナーゼ受容体に結合してSmadを介して細胞内にシグナルが伝達される。
老化・老年病における意義
TGF-β経路の内daf-7遺伝子などが関わる経路はインスリンシグナル経路との相互作用により線虫の寿命の決定に関わる(2)。実際、TGF-β リガンドのdaf-7遺伝子変異体ではインスリンシグナル経路の下流にあるDAF-16: FOXO転写因子に制御される遺伝子に対して発現が変化している（2）。しかし酸化ストレス耐性をもたらすことはない（3）。3-keto-cholestenoic acid (dafachronic acid)の合成酵素（DAF-9）および受容体（DAF-12）はTGF-β経路とインスリンシグナル経路の両者の制御を受け寿命に影響を与える（4）。一方sma-2遺伝子などが関わるTGF-β Sma/Mab経路は生殖老化を制御することが知られる（5）。
Database
参考文献
(1)
Roberts, AB, Sporn, MB. The Transforming Growth Factor Betas. Roberts, AB,
Sporn, MB., edit. Heidelberg: Spring; 1990. pp. 421–472.
(2) Shaw WM, Luo
S, Landis J, Ashraf J, Murphy CT. The C. elegans TGF-β Dauer
pathway regulates longevity via insulin signaling. Curr Biol. 17:1635-1645.
2007 (PMID: 17900898)
(3) Honda Y, Honda S. The daf-2 gene network for longevity
regulates oxidative stress resistance and Mn-superoxide dismutase gene
expression in Caenorhabditis elegans. FASEB J 13:1385-1393, 1999 (PMID:
10428762)
(4) Motola DL, Cummins CL, Rottiers V, Sharma KK, Li T, Li Y, Suino-Powell
K, Xu HE, Auchus RJ, Antebi A, Mangelsdorf DJ. Identification of Ligands for
DAF-12 that Govern Dauer Formation and Reproduction in C. elegans.
Cell. 124. 1209-1223. 2006 (PMID:
16529801)
(5) Luo S, Shaw WM, Ashraf J, Murphy CT. TGF-b
Sma/Mab signaling mutations uncouple reproductive aging from somatic aging.
PLoS Genet. 5:e1000789. 2009 (PMID:
20041217)
作成者
本田陽子、本田修二、田中雅嗣 20111125
Update 20130628