財団法人東京都高齢者研究・福祉振興財団 東京都老人総合研究所
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老年病のゲノム解析研究チーム

 研究テーマ:

βアミロイド神経毒性の分子機構

 

リーダー : 内田洋子

五味不二也

 


キーワード

βアミロイド、神経細胞死、神経再生、遺伝子発現、遺伝子導入、遺伝子機能阻害 

 私たちの研究目的は、どのような遺伝子の発現が変化すると、アルツハイマー病脳で神経細胞死がおこるようになるのかを明らかにし、その遺伝子の発現を制御することによって、病気の進行を止めることをめざしています。ところで、アルツハイマー病は大脳皮質や皮質下で神経細胞が単に死んでいくのではなく、そこには、老人斑(βアミロイドが沈着)や神経原線維変化といった異常な構造物が見られます。そして、最初にβアミロイドが沈着し、それから長い年月を経て、神経原線維変化や神経細胞死が現れることが知られています。しかし、この時期になると、様々な変化が脳内におきていて、どの変化が神経細胞死よりも先におこっているのかを見極めるのは不可能になります。そのため、アルツハイマー病脳で遺伝子発現を調べても、それが、神経細胞死がおこる前の変化である可能性は非常に低くなります。そこで、私たちは、最初に沈着するβアミロイドが、どのような遺伝子発現を誘導させているかを培養系で網羅的に解析し、その誘導が神経細胞死をひきおこすのかどうかを、遺伝子導入実験や機能阻害実験によって調べています。そして、それらの発現変化が培養系だけではなく、生体内でも起きていることを、アルツハイマー病マウスモデルを使って確認しています。これまでに、約22,000個の遺伝子の発現を調べ、22遺伝子の発現がβアミロイドによって誘導されていることを明らかにしました。その中には、(1)神経再生と細胞死の両方を引き起こすような遺伝子発現変化や(2)変性しやすい部位で発現する遺伝子の誘導が含まれています。これらは、(1)アルツハイマー病脳では神経再生が認められながら、なぜ、変性脱落した神経細胞の補充ができないのか、また、(2)アルツハイマー病では大脳皮質全体が変性するのではなく、なぜ、特定の部位だけが変性するのかという問いに対する答えの一つであると考えています。そして、特に(1)は、幹細胞による神経細胞の補充療法を考える際には、神経再生を加速させることだけではなく、ß-アミロイドによって悪化した脳内の微小環境を改善する方法も同時に開発する必要があることを示唆しています。このように、私たちの仕事が、アルツハイマー病の治療薬や予防薬の開発のための基礎データとなると考えています。そして、これらの仕事を基に、髄液中での蛋白変化の解析をおこない、アルツハイマー病の進行の程度を診断できる方法を開発しようとしています。


 

 

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2008/10/21
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