独立行政法人 東京都健康長寿医療センター 研究所(東京都老人総合研究所)
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老化制御研究チーム 

 研究テーマ:

分子老化制御研究B

 


高橋真由美

研究生:真下美保(日本女子大)、八木沙月(日本女子大)

キーワード
 

 クロック1 (clk-1) 遺伝子, 寿命と生体リズム, 代謝, コエンザイムQ (CoQ), 活性酸素、ミトコンドリア


 

寿命制御遺伝子クロック1 (clk-1) による老化メカニズムの解明

 寿命の長さと心臓の拍動などの生体リズムや代謝速度が逆相関することは古くから知られている(Cutler, R. G. 1982. Testing the Theory of Aging.)。生体リズムが遅くなったり代謝が低下したりすると寿命が延びる原因はいまだ明らかにはされていないが、代謝速度の低下により代謝副産物で細胞障害性のある活性酸素の生成量が減少し、その結果個体寿命が延長する可能性があると考えられている。
clk-1遺伝子は線虫で発見された寿命制御遺伝子で、clk-1が変異すると長寿命になるとともに、様々な生体リズム(咽頭部のポンピング、脱糞など)が遅延する。clk-1変異線虫にマウスあるいはヒトのclk-1を遺伝子導入すると、生体リズムと寿命が元に戻ることから、哺乳動物においてもclk-1遺伝子が生体リズムと寿命を制御していると考えられた(図1)。clk-1の遺伝子産物は、ミトコンドリア呼吸鎖の電子伝達体であり活性酸素の最大の発生源であるコエンザイムQ(CoQ)の合成酵素である。そこで私達は哺乳動物における生体リズムあるいは代謝速度と寿命との関係に対する活性酸素の関与を明らかにするため、clk-1遺伝子に着目した。私たちが世界に先駆けて作製したCoQが全くないclk-1欠損マウスとclk-1欠損マウスにclk-1を遺伝子導入しCoQ量が半減しているトランスジェニックマウスを用いて生体リズム、代謝速度、寿命とミトコンドリア機能および活性酸素の発生との関係を明らかにすることにより老化制御メカニズムの解明を目指している。
CoQ10はアンチエイジング効果を期待されサプリメントとして市販され、多くの人々に服用されている。しかし、加齢に伴い細胞内のCoQが本当に減少するのか、また外因性のCoQ10が果たしてアンチエイジングに有効か否かに関する基礎データは殆どないのが現状である。本研究は老化のメカニズムを解明するとともに、これらの点に対しても科学的根拠を示せるものと考えている。

図1 マウスclk-1遺伝子は線虫の寿命を制御できる。
clk-1変異線虫 (●) にマウスclk-1遺伝子を導入 (■)した所、
寿命が縮み、野生型線虫 (○) と同程度の寿命に戻った。

 

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2010/06/01

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