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社会科学系研究

高橋龍太郎
副所長

 

 

  我が国における高齢化はその成熟度を増しています。介護保険が始まって十年、「寝たきり」という言葉が論文や報道から消え、「痴ほう症」にかわり認知症が使われるようになったことが象徴しているように、病気や介護をめぐる状況は、質の面からも量の面からも大きな変化を遂げました。また、百歳を超える方が同じ町内に住んでいることも珍しくなくなり、定年退職や子育ての終了は人生の一つの変曲点にすぎないと実感されるようになっています。

 現在の社会の特徴を振り返ってみますと、第一に都市部における高齢化の進行がスピードを上げ始めていること、第二に高齢者層の中心が戦争世代から団塊(ブーマー)世代に変わりつつあること、第三に地域・職域・血縁などの関係にとらわれない住まい方の創造が求められている、という三点を挙げることができるでしょう。このような中で私たち社会科学、人間科学領域の研究者に求められている方向性とはどのようなものでしょうか。

 私は次のように考えています。何よりも基本となるのは高齢者の自立と自律を支援するような研究です。具体的には、社会への関心や関与を保ちながら、可能ならば社会参加や社会貢献にかかわる活動を進める研究、依然として私たちの前に立ちはだかる壁である身体活動や認知機能の衰えを防ぐための研究、たとえ介護が必要になってからでも長く暮らした地域や自宅で過ごせるような仕組みに関する研究を 挙げることができます。そして、資源の有限性が明らかになった現在、私たちの社会全体が迎えつつある"老年期の国"を見据えた研究成果の普及と社会への還元が大切になっていると思います。

 このような研究活動を、大都市東京に住んでいる方々、地方の町や村で生活している方々、アジアや欧米で暮らしている方々に向けて情報発信しながら、高齢期に過ごしやすい社会の創成に関わっていこうとしています。

 

高橋龍太郎 副所長

 

 

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2010/10/25

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