独立行政法人 東京都健康長寿医療センター 研究所(東京都老人総合研究所)
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自立促進と介護予防研究チーム 

 研究テーマ:

筋骨格系の老化予防の促進

 


 リーダー:金 憲経(研究副部長)

 大渕修一(専門副部長)、島田裕之、小島成実
 

キーワード
 

 転倒、尿失禁、老年症候群の複数徴候、サルコペ二ア、歩行機能、介入、追跡調査



 

1. 老年症候群の発症と関連する要因の検討

(1)再転倒と関連する要因の究明
(2)尿失禁の発症と関連する要因の解明
(3)老年症候群の複数徴候と関連する要因の解明

2. 老年症候群の解消を目指す介入研究

(1)転倒予防を目指す介入研究
(2)尿失禁の改善を目指す介入研究
(3)老年症候群の複数徴候改善を目指す包括的介入研究
(4)サルコペ二アの改善を目指す介入研究
(5)歩行機能の向上のための介入研究
(6)膝痛の改善を目指す介入研究


1. 地域在住高齢者の転倒予防を目的とした介入研究

74歳以上の地域在住高齢者52名を無作為化比較対照試験により介入群(28名)と対照群(24名)に分けて、介入群には転倒予防をめざす運動指導を2週間に1回の会場集団指導と家庭用運動プログラムを提供しながら6ヵ月間指導し、その後8ヵ月間、20ヵ月間の追跡調査を行い、身体機能の変化と転倒率の推移を調べた。その結果、介入によって改善された身体機能は時間の経過とともにある程度は低下するが、開眼片足立ち、最大歩行速度、膝伸展力、手伸ばしは事前より高い機能水準を追跡まで維持していることを確認した。一方、介入前1年間の転倒率は、対照群16.7%、介入群14.3%であった。6ヵ月間の介入終了後、第1回目の追跡期まで(8ヵ月間)に発生した転倒率は対照群40.9%、介入群13.6%であり、その20ヵ月後に第2回目の追跡調査までの累積転倒率は、対照群54.5%、介入群13.6%であった。これらの結果より、介入期間中に改善された身体機能が追跡期間まで維持され、維持された身体機能はその後の転倒率の低下につながる可能性が高いことをJournal of Bone and Mineral Metabolism(22:602-611, 2004)に報告した。

2. 地域在住高齢者における尿失禁の改善を目的とした介入研究

70歳以上の地域在住高齢者1,016名を対象に包括的介護予防健診を行い、受診者の中から月1回以上尿失禁があると答えた腹圧性尿失禁者149名に対して、尿失禁改善教室を案内したところ70名が教室参加を希望した。参加希望者70名をRCTにより運動群35名、対照群35名に分けて、運動群には週2回、1回当たり60分の骨盤底筋運動+体力強化運動(体重減少)を3ヵ月間指導した。その後1年間の追跡データを分析した。その結果、1年後の尿失禁の完治率は運動群54.5%、対照群9.4%(Z=3.863、P<0.001)であった。さらに、体力やBMIの変化と尿失禁の完治率との関連性について分析したところ、BMIの低下、最大歩行機能の向上は尿失禁の完治と密接に関わっていることをJournal of American Geriatric Society(55:1932-1939, 2007)に報告した。

3. 地域在住後期高齢者におけるサルコペ二アの改善を目的とした介入研究

2008年度に75歳以上の後期高齢者を対象に実施した包括的健診受診者1,399名の母集団より、「筋肉量の低下+下肢筋力の衰え+歩行機能の低下」をサルコペ二アと定義し、該当者304名を抽出した。抽出された304名中、サルコペ二ア改善教室参加希望者155名をRCTにより4群(運動+栄養群、運動群、栄養群、対照群)に分けて、栄養群にはアミノ酸補給、運動群には週2回、1回当たり60分間の筋力強化運動を3ヵ月間指導するサルコペ二ア改善介入研究が現在進行中である。これらの試験より、サルコペ二ア改善に運動のみで十分なのか、アミノ酸はどのような影響を及ぼすのかなどに関する知見が得られる。

4. 高齢者の歩行機能向上を目的とした介入研究

高齢者の歩行機能については、2つの側面から検証する。一つは、歩行機能向上プログラムの効果検証であり、もう一つは歩行機能の制限要因である膝痛の改善効果の検討である。まず、イメージトレーニングと運動によって、歩行時の脳活動の賦活または自動化が促進されるかを検討するために、健常高齢者24名(RCT)を対象に脳のFDG PETを介入前後に実施する(安静時と歩行時の2条件)。次に、重錘負荷歩行による膝痛改善効果の検討および高齢者の膝痛と歩行時足底圧パターンの関連を検討する研究が現在進行中である。

 

 

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2009/07/31

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