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トピックス

高齢者の入浴事故はどうして起こるのか?
―特徴と対策―

■介護・生活基盤研究グループリーダー 高橋 龍太郎

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入浴事故予防のための対策

 1. 湯温は39〜41℃くらいで長湯をしない
 2. 脱衣場や浴室の室温が低くならない工夫をする
 3. 食事直後や深夜に入浴しない
 4. 気温の低い日は夜早めに入浴する
 5. 心肺の慢性疾患や高血圧症をもつ人では半身浴が望ましい

4)入浴中の急死は全国で年間約14,000人

 さて、浴室はプライベートな空間であるという事情もあって、入浴中の事故についての大規模な実態調査はほとんどなかった。私たちは、東京消防庁全救急隊の協力のもと平成11年10月から平成12年3月までに行った調査結果に基づいて、全国での入浴中の急死例の推計を行った。東京23区内では半年間に628件の死亡事故が発生し、一年で866件と推定された。そして、東京23区内の年齢構成と全国の年齢構成の違いを考慮して、平成11年度の全国の入浴中急死は約14,000人と算出されたのである。東京23区内データのうち79%を占める高齢者の比率から推定すると、全国では約11,000人の高齢者が死亡しており交通事故死の数倍は多いといえる。
 また、事故にあったものの半数はすでに現場で死亡(心肺停止状態)していた。このような入浴中急死につながる要因を解析したところ、表1のように高齢、女性、気温の低い日、深夜から早朝に通報されたものが死亡に結びつきやすいことが明らかとなった。一方、夕方に発生した場合は死亡例が少ないこともわかった。なぜ女性の方が入浴中に死亡しやすいかという点は詳細不明であるが、事故発生時間と死亡との関係は人間の生体リズムを考えるとき興味深い。体温、血圧などの生命現象は24時間のリズムを刻んでいるが、その値が最高になるのが夕方4時頃、最低となるのが早朝であることが知られているのである。

表1.入浴事故が心肺停止状態に結びつく要因(ロジスティック回帰分析)
要因
リスクの増加
年齢
10歳増えると
1.34倍
女性
- 1.39倍
平均気温
10℃下がると
1.42倍
通報時間帯
4時から7時59分の場合
16時から19時59分の場合
1.85 (P=0.08)倍
0.57倍


5)入浴中急死のメカニズムと対策

 以上の点を考慮した入浴中急死のメカニズムは次のように考えることができるだろう。気温、室温、湯温などの温度や水圧の影響を受けて心・血管反応や発作が起こり、意識障害が現れる。その場が浴槽内であれば溺水や溺死事故となり、浴槽から出ていれば転倒、湯あたり事故となるのではないだろうか。

入浴中急死のメカニズム

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2002/11/26

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