理研(理化学研究所)やNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が行っているプロテオームプロジェクトとの相違点は?
理研やNEDOが行っているプロテオームプロジェクトは、「完全長cDNAが得られたものについて大腸菌などの中で大量にタンパク質を作らせ、大型のNMR(核磁気共鳴吸収)分析装置を用いてタンパク質の立体構造を調べることにより、タンパク質の機能を解明しよう」というもので、どちらかと言うと新しい機能性タンパク質を見つけだそういう色彩が強いものです。これに対し老人研でこれから取り組もうとしているプロテオームプロジェクトは、「様々な老化の段階にある細胞や組織のプロテオームを解析し、生理的な(生物学的な)老化に伴う身体機能の低下に深く関わっているタンパク質を見つけだすとともに、特に高齢者に多く見られる中枢神経系、循環器系、血管系の疾患の発症とタンパク質の酸化的修飾の関係を明らかにしよう」というものです。したがって研究材料も、分析方法も、目指す方向性も全く別のものです。分析するサンプルとしては、老人研で開発されたTIG-3などのヒト細胞や、東京都老人医療センターで管理されているブレインバンクの高齢者および各種疾患脳組織、さらには、老人研で飼育管理されている老化モデル動物など、老人研ならではのものを主に使用する予定であり、他のグループとは異なるユニークな研究内容になるものと考えております。また期待される研究成果も、老化に伴う身体機能の低下の抑制や老年期疾患の発症の予防につながるものであり、今後一層深刻化することが予想されている高齢者の医療福祉問題の解決に少なからず貢献できるものと考えています。