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トピックス

肉も食べ続ける食生活の大切さ

■地域保健研究グループ 熊谷修

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なぜ高齢者の「食」を研究しているのですか?

アルブミンという言葉をよく聞きますが、これと栄養、老化はどういう関係があるのですか

寿命の伸びと食生活の因果関係は?

寝たきり予防の食生活ってあるのでしょうか?

「元気で長生きのための食生活」の実践例を教えてください。

高齢者に対する地域ぐるみの食生活改善例があるそうですが?

肉を避けて魚ばかり食べているのは良くないのですか?



なぜ高齢者の「食」を研究しているのですか?

高齢者が、地域で独立した生活を営むためには、基本的な日常生活動作能力(歩行、入浴、排泄、食事、着脱衣)に加え、「公共交通機関を使った移動」、「金銭の管理」、「創作」、「余暇活動」、および「社会的交流」など、より水準の高い生活機能が自立していなければなりません。世界保健機関(WHO)は、約20 年前に高齢者の健康度の指標を生活機能の自立度にすべきことを提唱しています。しかし、高齢者に対する社会の要請はこれにとどまらず「生産的能力」の維持増進が求められています。これはさらに高い水準の能力であり、家政、有償労働、ボランティア活動などが含まれます。高齢期の「老化遅延の手段」が目指すものは、単に疾患の予防と管理ではなく、これらの能力を維持しつつ長寿を実現することです。私は、この目標を達成する重要なアプローチとして「高齢期の食生活のあり方」を合理的な科学データに基づき研究しています。

アルブミンという言葉をよく聞きますが、これと栄養、老化はどういう関係があるのですか

アルブミンというたんぱく質は、血液中を流れるたんぱく質の約60 %を占めています。血液中のアルブミンは、からだの栄養状態の「ものさし」ですが、同時に、老化の「ものさし」ということもできます。何故ならアルブミンの値は、通常、加齢に伴い徐々に減少するからです。すなわち「命の量」の予知因子といえます。老人保健法に基づく基本健康診査でも測定項目として取り入れる自治体がでてきました。

図1図1

図1は、血中のアルブミンの量と心臓病による死亡あるいは心臓病の発症の関係を棒グラフ化したものです(年齢、コレステロール値、血圧等の、重要な関連項目の影響を考慮し調整してあります)。アルブミン値が低い、すなわち栄養状態が悪く老化の進みやすい高齢者の心臓病による死亡の危険率(左)は、最も栄養状態の良いグループの約2.5 倍であることをあらわしています。発症の危険率(右)でも同じです。高齢期の心臓病の予防はからだの栄養状態を良くしておくことで可能となることがわかります。また、心臓病だけでなく高齢期の感染症(肺炎など)もからだの栄養状態が悪いことで発症しやすくなることが知られています。つまり、高齢期は栄養状態の悪い老化の進みやすいからだにすると、さまざまな病気が発症しやすくなってしまうのです。病気と老化は両方ともにからだの負の変化ですが、本質的に全く違う変化です。高齢期は、病気、ことに生活習慣病をうまく押さえ込む手段に加え、老化の進行をいかに遅らせるかという視点をもたなければなりません。それには、からだの栄養状態を良好に保つことが必要なのです。また糖尿病や腎臓病など個々の病気を予防・コントロールする食事は、さまざまありますが、それらを単純に足し合わせた内容の食事が、高齢期の健康、つまり「元気で長生き」を保証するものとはならないことを銘記する必要もあります。

図2 

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2002/11/26

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