財団法人東京都高齢者研究・福祉振興財団 東京都老人総合研究所
 トップページ > 講演会 > 第48回 老年学公開講座 > 司会のことば
公開講座

司会のことば

財団法人東京都老人総合研究所
神経病理研究部長 水谷 俊雄

 私たちの生活に浸透しているわりには、動脈硬化の本当の姿、本当の恐ろしさを知らないで過ごしてはいないでしょうか。動脈硬化は長い年月をかけて出来てきます。風邪を引けば仕事を休んだり、薬を飲んだりしますが、動脈硬化があっても、すぐに私たちの体が病気になるというものではないからでしょう。しかし、ひとたび動脈硬化が引き金になっておこる病気にかかると風邪のようにはいかないのです。

 ある新聞の日曜版にこんな記事がありました。胸のレントゲン写真で大動脈に石灰が溜まっていると医師に言われたが大丈夫か、という質問です。若い人たちのレントゲン写真では大動脈はほとんど見えませんが、歳をとるにつれて輪郭がみえるようになります。これは動脈硬化が進んでいるためなのですが、実は大動脈だけでなくて、もっと細い動脈にも起こっているのです。たとえば眼底検査を受けられた方がおられると思いますが、網膜の動脈は簡単に私たちが直接目で見ることのできる唯一の血管です。動脈にはいろいろな太さがあり、どの動脈が硬化しても困るのですが、とくに比較的細い動脈に起こるとさまざまな病気を引き起こします。そこで網膜の血管を観察して全身の動脈硬化の程度を推し量っているわけです。

 細い動脈に硬化が起こりますと、内腔が次第に狭くなります。そうしますと血管の中を流れる血液の量が減ります。私たちの体を作っている細胞は、血液から栄養をとったり不用の物質を出しますから、血液量が減ると困るわけです。

このように動脈の血液が減少することを虚血と言い、虚血によって起こる病気を虚血性疾患と呼びますが、心筋梗塞や脳梗塞はその代表的な病気です。

 このように実際に症状を引き起こしている原因は虚血による細胞や組織の死ですが、その裏では動脈硬化が悪さをしているのです。そこで動脈硬化のでき方、動脈硬化が引き金になる心臓や脳の病気について、その症状や対処の仕方、予防などをそれぞれの専門医がお話します。虚血性疾患は高齢ほど増えてきますが、動脈硬化そのものは若い頃から始まりますので、これを機会に是非関心を持って頂きたいと思います。

ページのトップへ


財団法人東京都高齢者研究・福祉振興財団東京都老人総合研究所、トップページへ
2002/11/26

Copyright(C)2002 Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology. All rights reserved.