司会のことば
財団法人東京都老人総合研究所
神経病理研究部長 水谷 俊雄
「がん」は心臓病や脳卒中とともに、わが国の死因トップ3にあげられていますが、年齢に関連した病気、つまり高齢ほど多い病気でもあります。
しかも、わが国では急速に高齢化が進んでおりますので、これからは、「いかにがんを克服するか」ということに加えて、「いかにがんとつき合うか」ということが大きな問題になるのです。
最近、がんに対する治療をめぐってさまざまな議論がマスコミを賑わしていますが、老年期の場合は青壮年のがん治療の延長線で解決できるものでは決してありません。たとえば、顕微鏡でみるがんの顔もかわってきますし、がんの種類も変化してきます。つまり、治療の方法にも工夫が必要なのです。東京都老人医療センター、東京都多摩老人医療センター、そして財団法人東京都老人総合研究所では、長年にわたって、高齢者のがん治療のノウハウを研究、開発してきました。
今回の公開講座では、日本人に多い胃がんと、更年期を過ぎると多くなる乳がんを取り上げて、その診断と治療を分かりやすく解説したいと思います。まず、「がんは若年者と高齢者でどう違うか」と題して、歳とともに変わるがんの姿を田久保先生にお話頂き、つぎに治療する立場から、「今後とも増え続ける高齢者の乳がん」を金澤先生に、「高齢者の胃がんの治療」を横路先生にお話して頂きます。この機会に、がんの素顔を知り、それに対する治療の方法も決して「切った貼った」ばかりではなくて、いろいろなアプローチがあることをお分かり頂ければ幸いです。

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