財団法人東京都高齢者研究・福祉振興財団 東京都老人総合研究所
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公開講座

司会のことば

財団法人東京都老人総合研究所
    中枢神経部長 神田健郎

 パーキンソン病は老年性痴呆(アルツハイマー病)に次いで高齢者に多い脳の代表的な病気のひとつです。パーキンソン病の発病率は、日本では10万人あたり100人位ということですから、東京都の人口を約1200万人位だとしますと、ざっと12000人の方がパーキンソン病で苦しんでおられる計算になります。パーキンソン病は、体の動きが遅くなったり、筋肉が硬くなったり、体が小刻みに震えたり、体のバランスが悪くなり、転びやすくなったりする病気です。

 幸いなことに、パーキンソン病の主な原因は、脳の中にある神経伝達物質の「ドーパミン」を生産する神経細胞(ドーパミンニューロン)の減少であることが分かってきました。現在では、このドーパミンニューロンの減少に伴って低下したドーパミンを補充する治療法が開発され、これにより、患者さんの日常生活は飛躍的に改善されてきました。そして、この治療法の開発に貢献したスウェーデンのCarlsson氏は昨年ノーベル医学生理学賞に、またアメリカのKnowles氏は今年のノーベル化学賞に輝きました。とは言え、この治療法にもいくつかの問題点があります。薬の効き目が次第に弱くなったり、症状が薬の濃度と無関係に急に悪くなったり、不随意運動(自分の意志とは無関係に起こる体の動き)が出てきたり、幻覚や妄想が出たりするのです。現在では、このような欠点を補うような新しい治療法の開発を目指して、さまざまな角度から研究がなされていて、着実に実績を上げつつあります。さらに最近では、病気の原因そのものに迫るようなすばらしい研究の成果が次々と発表されています。脳の機能を研究する基礎学者、実際に治療に当たる臨床医、薬の開発に携わる人々のパーキンソン病とのたゆまぬ戦いの結果、単なる対症療法ではなく病気の予防や根本治療もあながち夢ではなくなっています。

 この公開講座では、パーキンソン病とはどのような病気なのか、それはどのような仕組みで起るのか、また、神経伝達物質「ドーパミン」とは脳の中でどんな働きをしているのかについてお話し、さらに治療法の現状、これからの展望について紹介しようと思います。


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2002/11/26

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