講演者のあいさつ
「ちょっと気になる物忘れ」
中高年になると誰でも物忘れが増えてきたと感じるものです。人の名前が思い出せな
い。手紙を投函しようと思って鞄にいれたまま何日もたってしまう。あれやこれや、
物忘れに関する失敗談には限りがありません。しかも皆が皆、同じような経験をして
います。しかし一方では、はるか昔のごくつまらないことをはっきり覚えていたりし
ます。記憶とは非常に巧妙にできている重要なシステムですが、不都合な側面も少な
くありません。大事なことだけを永久に保存し、そうでないものは忘れ去ることがで
きれば良いのですが、コンピュータのようなわけにはいかないのが現実です。
世の中には、いろいろな人がいますので、この物忘れに関しても、感じ方はさまざま
です。若い頃は記憶に自信のあったという方に多いのですが、記憶が低下していると
いう自覚を強く持っている人と、全然そんなことはないと主張する人に、同じ記憶の
検査をやって頂くと、概して低下を自覚している人のほうが、成績が良いものです。
このように、記憶が低下していると感じていても、なんの問題もないことが圧倒的で
すし、それなりの対処法があるのですが、痴呆のはじまりは記憶低下からといわれて
いるので、物忘れがちょっと気になるというのも納得できることです。
生理的老化にともなう記憶低下と、痴呆の初期にみられる記憶の低下に違いはあるのだろうか?
物忘れが徐々に増えてきているが、なにか対処する方法はあるのだろうか?
最近、痴呆の予防という言葉を耳にするが、本当に予防が可能なのだろうか?
このような話題を中心に、物忘れと痴呆に関する情報を、できるだけ平易に紹介する予定です。
東京都老人総合研究所 痴呆介入研究グループ
小林 充

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