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「超長寿に関連するミトコンドリア遺伝子型を同定」

〜 105歳以上の超百寿者のミトコンドリア遺伝子の特徴を解明 〜

米国雑誌「プロスワン」に発表


【ポイント】105歳以上の超百寿者のミトコンドリア遺伝子の特徴を解明

 このたび、(財)東京都高齢者研究・福祉振興財団 東京都老人総合研究所の福 典之 主任研究員、西垣 裕 研究副部長、田中雅嗣 研究部長らの健康長寿ゲノム探索研究チームは、105歳以上の超百寿者112人と百寿者96人のミトコンドリア遺伝子の全塩基配列を決定し、アルツハイマー病やパーキンソン病・糖尿病患者など576人の全塩基配列と比較し、ミトコンドリア遺伝子のD型の中でも特にD4a型が長寿に関連していることを明らかにした。D4a型の頻度を岐阜県・東京都・群馬県で調べたところ8.44% (5651人中477人)であった。これに対し105歳以上の超百寿者では1.9倍の15.18%(112人中17人)であり、100歳以上の男性では2.7倍の20%(35人中7人)であった。D4a型の人は、ミトコンドリア電子伝達系(エネルギー産生系)の中心にあるチトクロームbという蛋白質において78番目のアミノ酸がイソロイシンからトレオニンに置換されている。この変化がこの蛋白質を安定化していると推定される。 この研究成果は平成20年6月11日にプロスワン「PLoS ONE (open access, online scientific journal from the Public Library of Science)」に掲載されたのでお知らせします(全文が閲覧可能)。
 1998年に同研究チームは100歳以上の人(百寿者)を調べ、ハプログループD(日本人の38%が有するミトコンドリア遺伝子の型)が長寿に関連していることを英国雑誌「ランセット」に報告した。またミトコンドリアのN9a型の人が糖尿病やメタボリックシンドロームに罹りにくいことを2007年に報告している。
 この結果は、東京都老人総合研究所、慶應大学老年内科、岐阜県国際バイオ研究所、米国ルトガース大学、米国ボストン大学、米国プリンストン高等研究所の共同研究の成果である。

1. 研究の背景

  細胞核の染色体にDNA(デオキシリボ核酸)が存在しており、ここにひとそろいの遺伝子のセット(ゲノム)の情報が含まれている。これまでのゲノム研究の多くは、この染色体DNAについての研究である。一方、「ミトコンドリア」は、細胞の中に網の目のように張り巡らされている構造(細胞内小器官)で、細胞が必要なエネルギーを作りだす働きをしているが、興味深いことに、もう一つの「ゲノム」であるミトコンドリアDNAを持っている。このミトコンドリアDNAは、両親から半分ずつ伝えられる染色体ゲノムとは異なり、全てが母親から子へ伝えられるという特徴を持っている。
 田中部長らは、100歳を超える長寿者11名に特徴的なミトコンドリアDNA配列(多型)があることを1998年に報告し、世界的に注目された(Tanaka Mら、Lancet 1998)。その後、日本人672人のミトコンドリアゲノム全塩基配列を調べ、2003年からミトコンドリアゲノムの多型に関するデーターベース(http://www.giib.or.jp/mtsnp)を公開するとともにGenome Research (Tanaka Mら、2004)に報告した。このデーターベースを元に、ミトコンドリアゲノムの型(ハプログループ)の網羅的解析システムを開発した。また、岐阜県立3病院を受診した2,906人(糖尿病患者1,289人・正常対照1,617人)ならびにソウル大学医学部附属病院を受診した1,365人(糖尿病患者732人・正常対照633人)について、糖尿病への易罹患性または罹患抵抗性に関連するミトコンドリアハプログループの探索を行った。その結果、日本人および韓国人で約4%の頻度で見つかるミトコンドリアDNAの型(ハプログループN9a)を有する人が糖尿病に罹りにくいことを明らかにした(Fuku Nら、American Journal of Human Genetics 2007)。
 長寿、あるいは糖尿病やメタボリックシンドロームなどに罹りやすい遺伝的体質を知ることにより、例えば発症前から身体運動や食事などの質や量を個別にアドバイスすることができる。これにより、その発症を抑えることを可能し、国民の医療費負担を軽減できるだけでなく、個人の「生活の質」を向上できると考えられる。


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(財)東京都高齢者研究・福祉振興財団 東京都老人総合研究所 
健康長寿ゲノム探索研究チーム 健康長寿ゲノム探索研究チーム
主任研究員 福 典之(ふく のりゆき) 
研究副部長 西垣 裕(にしがき ゆたか)
研究部長 田中 雅嗣(たなか まさし)

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2008/06/11
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