看護と介護の連けいのあり方

−訪問看護ステーションを例として−

 

金川克子(東京大学大学院医学系研究科)

 

 

演者はかつて全国の訪問看護ステーションを対象にそこを利用している在宅療養者や要介護高齢者の特性、勤務職員の職種等を調査したことがある。それによると保健婦、看護婦、准看護婦、理学療法士、作業療法士、ヘルパーとさまざまな職種が働いている。又、利用者は脳血管疾患や痴呆、高血圧疾患、糖尿病等さまざまな疾患を有していることが示された。

さらにある訪問看護ステーションをみると、利用者のADLレベルが低く、ねたきりや準ねたきりが多く、提供するケアの内容も療養上の生活についての指導や介護技術の提供、機能訓練、医療処置等多種多様である。

この様な要介護高齢者や在宅療養者を対象に介護の社会化が必要になってきている。

国では平成12年4月から介護保険制度を実施させることになっており、各市区町村ではその準備に追われているが、制度が軌道に乗るまでに検討すべき課題は多い。

要介護高齢者や在宅療養者のニーズに沿うケアを提供していくためにはそれなりの条件整備が必要となる。即ち、要介護高齢者や在宅療養者ができるだけ自立した日常生活や安心した療養生活を遂行するためには、保健・医療・福祉等の関係者からの援助が必要である。

介護保険のシステムの中では要介護認定者は適切な介護サービスの利用に関連するケアプランのもとで総合的なサービスが受けられるとされているが、看護と介護の連けいのあり方が重要である。

 

そこで次の諸点からこの課題について考えてみたい。

1.訪問看護ステーション利用者のニーズ

    1. 訪問看護ステーションを例とした看護職と介護職の連けいの実際
    2. 看護と介護の役割と連けいのあり方
    3. 看護と介護の社会化