老化の学際的・縦断的研究
東京都老人総合研究所副所長
柴田 博
老化を促進させたり遅らせたりする要因は社会学的・心理学的・医学的等のさまざまな領域にまたがっている。また、老化は個人・家族・社会に影響を与え、個人のうちでは心にも体にも変化が起る。
横断的研究から作られる老化のモデルには、出生コホートの影響(
疾病の疫学研究の場合、ベースラインの要因の測定は1回で良く、あとは目的とする疾病(
end points)を観察するのみで良い。ベースラインを複数回くり返し、その平均や変動をベースラインの変数とすることもあるが本質は変らない。老化の縦断研究では老化の変数は普遍的であり、またその変化を観察しなければならないので、ベースラインと同じ精度でくり返し測定されなければならない。アメリカの
ベースラインの対象の高い追跡率が保証されないと縦断研究は意味をなさなくなる。招待して調査する方法による脱落群(とくに死亡以外の脱落)を考慮しないでつくる老化のモデルには妥当性がない。
縦断研究には出生コホートの影響からは自由であるが、時代の影響(