多機関・多職種協働チーム

 

副田 あけみ(東京都立大学)

 

1 多機関(多部署)・多職種協働チームのモデル

 aネットワーク結合チーム   ;高齢者サービス調整チーム、児童虐待問題に対するケースマネジメント・チーム等

 b統合多職種チーム      ;病院内の治療チーム、児童相談所内の多職種チーム、医療・保健・福祉の総合型組織内の多職種チー                  ム、福祉の複合型組織の多職種チーム等

 c統合・ネットワーク混成チーム;福祉の複合型組織が外部の専門職(PTOTST)を非常勤スタッフとしてチームメンバー

としている例、福祉の複合型組織が外部のいくつかの特定機関(老人保健施設、訪問看護ステーショ   ン、診療所等)とネットワークを組んでいる例

 

2 多職種協働チームの利点と問題点

  利点

     問題点

利用者

より適切で効果的なケアプランの作成

  ケアプラン作成の遅延

ケアプランの迅速な実施

 標準ケアプランの適応による個別性への配慮の欠如、サービス

多様な立場の要望・意見を踏まえた総合的な検討

選択性の低下

恣意的アセスメントやパターナリステックな援助の相互規制

情報漏れの危険性によるÌプライバシー侵害の恐れ

多様な視点による多くの選択肢の提供

利用者の意向を無視した専門家による結託の恐れ

メンバー

多様な視点・知識等を相互学習

保守的傾向に陥り新規の試みには抵抗

専門家としての判断・意見を求められることによる専門性向上

非生産的な論議、役割・責任の押しつけあい*

バーンナウトの予防

カンファランスの形骸化*

政策主体・

一貫したサービスの提供

費用効果が上がるとは限らない

サービス機関

サービスの二重提供等を排し資源活用の効率性を向上

メンバーの活動時間を制約

サービス内容を標準化

機関の政策・手順・規則等の変更を迫られる可能性

専門性向上の動機づけによりサービスの質の向上

3 多職種協働チームの形成・発展に影響を与える要因

チーム次元

 動機づけ

協働のインセンティブの乏しさ、資源水準の低さ

管理責任・権限

不明確さ

 a

メンバーの範囲

ネットワーク参加機関、参加者の多さ、地理的範囲大

組織次元

 管理者の認識

地域ケア・協働に関する理解不足

実践家の資源

ケースロード等が多く協働チームの活動に時間が割けない

運営方針の異同

  対利用者

援助の目標、基盤とする価値観、利用者/介護者の参加・決定に関する考え方・その手順

ニード・問題の概念・アセスメントの視点、ニード・問題の優先順位

ケアカンファランスをおこなう利用者の範囲、適切なケアプランの水準・サービスの範囲

a b

モニタリング・評価のインターバル・内容、終結の基準

  対スタッフ

役割分担・役割オーバーラップ、職種間や職務間の権限内容、各職種の裁量の範囲

ミーティング、カンファランスに参加するメンバーの範囲、そのインターバル

職員間のコミュニケーションを促進するためのアレンジメント

スーパービジョンやコンサルテーションに関する認識とその実施

  対組織

情報管理の方針と実施方法(利用者・スタッフ・事業にかんする)

事業(サービスプログラム)の評価、資源整備・開発についての見通し

実践家次元

 実践家の認識

 援助実践の方針の異同

a b

  対利用者

  対スタッフ