日本基礎老化学会へようこそ

2009年6月の横浜における大会で承認を受け、丸山直記先生の後任として学会理事長の大役を仰せつかりました。学会開設時から参加し、この学会で育てられましたのでとても光栄に存じます。ただ、鈴木孯之先生のときと同様に丸山先生が1期のみで理事長の座を降りられました。理事の任期が足かせとなり優秀な理事長が1期で終わってしまうのは学会にとっても大きな損失ですので今後議論していきたいと思います。本来でしたら理事長交代に伴って日本基礎老化学会事務局も東海大学医学部に移転すべきですが、私の研究室の力不足により、事務局は引き続き東京都老人総合研究所にお願い致しました。

昨今、老化の速度を制御することは可能という抗加齢医学やアンチエイジングの分野が世の中の注目を集めていますが、その根拠となっているのはカロリー制限や抗酸化であり、それらの多くは基礎老化研究者による分子遺伝学的な研究から来たものです。抗加齢医学やアンチエイジングの中にはまだまだ科学的な証拠に乏しいものが多く、基礎老化学会が得意とする基礎的な解析・研究が必要となっています。そのようなことから、基礎老化研究が社会に貢献できる重要な分野であることは間違いありません。しかしながらそのための基盤が今の日本基礎老化学会はまだ弱いように感じます。特に若い研究者の参加がここ数年で多少増えているとはいえ、各研究分野の層を厚くし、活発な議論をするためにはまだまだ会員数が足りません。社会に対して大きな影響力を持ち、経済的基盤を安定させるためにも若手を含めた会員数を増やすことが必要と思われます。会員が学会発足当時に比べて減少している原因は基礎老化研究が下火になったからではありません。いまも海外では基礎老化研究は盛んですし、韓国基礎老化学会は日本基礎老化学会発足当時と同じような勢いがあります。日本基礎老化学会がなかなか大きくなれない原因の一つは、若手が積極的に参加して活発な議論を繰り広げていた雰囲気が薄れたからだと感じています。それは、それぞれの発表が生物の老化、特に人の生命現象にどのように関わってくるのかという位置付けが以前よりも不明瞭になり総合的な老化の討議がしにくくなったためではないかと思っています。内容は優れたものが多いのですから、少し発表の仕方を変えるだけで、議論をしやすいものになると思います。若手会員を増やすには各会員が日本基礎老化学会のみならず、分子生物学会や病理学会など老化以外の学会でも積極的に発表していただきたいと思います。私もそうですが、若いときに指導してくれる先生に誘われた学会が母学会になることが多いので、各自がおこなっている基礎老化研究の面白さを他の分野で広め、老化の研究室に若い人を集めて日本基礎老化学会に誘うようしていただきたいと思います。

老年学会に新たに日本老年看護学会が加わり、4年に一度開催されている国際老年学会やアジアオセアニア地域老年学会が2年に1度の開催に向けた議論がなされているようです。また東京大学では「高齢者社会総合研究機構」を今年から発足させ総合的な老化研究が始まります。国内外で老化研究が活発化する中で日本基礎老化学会が果たす役割は益々重要なものになっていきます。多少批判的な意見も述べさせていただきましたが、この学会を愛する故とお許しください。日本基礎老化学会のさらなる発展のために誠意を尽くして頑張りますので、皆様のご理解とご協力をお願いいたします。

※これまで日本基礎老化学会では学会会長という名前を使用していましたが、大会会長と混同されることが多く、また日本老年学会所属の他学会ではすべて理事長となっておりますので、今期から学会会長ではなく学会理事長という名前を使わせていただきます。

日本基礎老化学会 理事長
 東海大学医学部 石井 直明

当学会は老化に関する基礎的な研究について科学的な議論を行うことにより基礎老化学を振興することを目的としています。 従って当学会が健康食品等を推薦・承認することはありません。