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2011年2月 35巻1号

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総説:
水素分子医学の現状と展望 大澤 郁朗
総説:
老化に伴う腎尿細管障害におけるSirt1-オートファジー径路の役割
久米 真司、 前川 聡、 古家 大祐
総説:
染色体機能ドメインのキネトコアと細胞老化 前原 佳代子
トピックス:
生体二光子顕微鏡による脳内微小循環経路の三次元追跡
正本 和人、 川口 拓之、 菅野 巖
トピックス
Sirt1によるAPエンドヌクレアーゼ1脱アセチル化はDNA塩基除去修復活性を調節する
山盛 徹、 Kaikobad Irani
学会報告
第6回国際ローマ映画祭プログラム 「イタリアと日本:高齢者に優しい2つの国」
田中 雅嗣
随筆
老化研究事起こし-------老化細胞は高齢者の臓器に実際あるのか?
三井 洋司
おしらせ
第34回日本基礎老化学会大会のご案内 白澤 卓二
附
基礎老化学会サーキュラー 第88号 |
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水素分子医学の現状と展望
大澤 郁朗
東京都健康長寿医療センター研究所・老化制御研究チーム・環境老化
要約
この4年間に多様な疾患に対する水素分子(H2)の効果が報告されてきた。H2はヒドロキシルラジカルなど毒性の高いラジカルを選択的に還元する。動物モデルにおける水素ガスの吸引は、脳、心臓、肝臓の虚血再灌流(I/R)障害を抑制し、心臓や小腸の移植後障害を軽減した。水素溶存点眼薬は網膜のI/R障害を抑制し、水素飽和生理食塩水の静注は心臓、小腸、腎臓のI/R障害を抑制した。さらにH2を高濃度に含む水(水素水)を動物モデルに飲用させたところ、ストレスによる認知機能低下、薬物によるドパミン神経細胞の変性、シスプラチンの腎毒性、慢性移植腎症がそれぞれ改善された。水素水の臨床研究ではLDLと酸化ストレスが抑制されている。また、H2を添加した腎透析の臨床研究では血圧が改善された。体内で容易に拡散し、人に対する安全性も高いH2は、酸化ストレスや炎症に関連する多くの疾患で新しい治療法となることが期待される。
キーワード:animal model, clinical trial, gas therapy, hydrogen
molecule, oxidative stress |
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老化に伴う腎尿細管障害におけるSirt1-オートファジー経路の役割
久米真司1, 前川聡1, 古家大祐2
1 滋賀医科大学・内科学講座・糖尿病腎臓神経内科
2 金沢医科大学・内科学講座・内分泌代謝制御学
要約
高齢化社会を背景として、慢性腎臓病を有する患者人口が増加している。一方、カロリー制限は様々な生物種において寿命延長をもたらし、哺乳類においては、動脈硬化や悪性疾患、腎病変など、加齢に伴い増加する疾患の発症予防効果を発揮する。そこで、新たな抗老化治療の可能性を見出すために、カロリー制限による抗老化に関わる分子機構の解明が進められてきた。近年、ヒストン脱アセチル化酵素(Sirt1)、また細胞内浄化機構であるオートファジーが、カロリー制限に伴う寿命延長効果に重要な役割を果たしている事が示された。その後、これらの各臓器における生理的役割が徐々に明らかとされ、様々な疾患に対する治療標的としての可能性が報告されている。我々もSirt1依存的なオートファジー活性調節が、カロリー制限による抗腎老化に必須であることを見出した。そこで本稿では、Sirt1-オートファジー経路の役割を中心に、カロリー制限による腎保護効果に関して概説する。
キーワード:加齢腎、Sirt1、オートファジー、ミトコンドリア、低酸素 |
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染色体機能ドメインのキネトコアと細胞老化
前原佳代子
国立成育医療研究センター研究所・周産期病態研究部・胎児発育研究室
要約
in
vitroで培養された正常細胞は、ある一定回数分裂した後に増殖を止める。この増殖停止を「細胞老化」という。Hayflickらによって報告された複製老化は、染色体複製と分裂を繰り返すことに伴うテロメアの短縮により誘導される。また、活性化がん遺伝子がもたらす過剰な増殖刺激やDNA損傷や酸化ストレスはストレス誘導性老化の引き金になる。最近、均等な染色体分配を保障するキネトコアの異常が、細胞老化を引き起こすことが報告されている。本稿では、マウスやヒトの正常細胞を利用したキネトコア研究から得られた成果を中心に、キネトコアの機能不全と細胞老化の関係を紹介する。
キーワード: CENP-A, kinetochore, p53, SAC, senescence |
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2011年5月 35巻2号

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第34回日本基礎老化学会大会 ご挨拶
第34回日本基礎老化学会大会 概要
交通案内
会場案内図
参加者・発表者へのご案内
2011年度日本老年学会総会・日本老年医学会学術集会開催のご案内
プログラム
発表抄録
シンポジウム
口演発表
ポスター発表
附
基礎老化学会サーキュラー 第89号 |
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2011年9月 35巻3号

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第33回日本基礎老化学会シンポジウム
プログラム
発表抄録
総説
グルココルチコイドによる筋萎縮の分子機構 田中廣壽、清水宣明、吉川賢忠
総説
タンパク質の酸化修飾と老化 戸田年総
総説
サルコペニア予防における運動と栄養摂取の役割 藤田 聡
トピックス <第34回日本基礎老化学会大会奨励賞受賞>
SASP:細胞老化と個体老化の接点 早川智久、本山 昇
トピックス <第34回日本基礎老化学会大会奨励賞受賞>
マクロファージからのサイトカイン分泌に関与する低分子量Gタンパク質 Rabファミリーの機能解析
森 亮一、間所俊介、Kim Sang Eun、小松利光、千葉卓哉、坪井貴司、下川 功
トピックス <第34回日本基礎老化学会大会奨励賞受賞>
Murine model for evaluating iPS-technology feasibility in
age-related functional declines or diseases
Zhao Cheng, Sachiko Ito, Naomi Nishio, Thanasegaran
Suganya, Ken-ichi Isobe
学会報告
第34回日本基礎老化学会総会 学会報告記 白澤卓二
学会報告
首届中日韓国際衰老研究会(1st Tri-Nations' Aging Symposium)に参加して 山下 均
随筆
老化研究事起こし------心筋細胞、神経細胞の再生と若返りは? 三井洋司
附
基礎老化学会サーキュラー 第90号 |
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グルココルチコイドによる筋萎縮の分子機構
田中廣壽、清水宣明、吉川賢忠
東京大学医科学研究所・先端医療研究センター・免疫病態分野
グルココルチコイド(GC)療法の副作用の一つであるステロイド筋症の病態として従来から異化作用が主体と考えられていたが、詳細は不明であり治療法もない。著者らは、骨格筋におけるグルココルチコイドレセプター(GR)の標的遺伝子を同定し、GCによる骨格筋萎縮の分子機構を栄養センシングの鍵分子であるmTORの抑制機構などを中心に明らかにした。同時に、GRとmTORの間の排他的相互作用を証明し、骨格筋量制御機構解明に新しい切り口をもたらした。以上の成果は、mTOR活性化によるステロイド筋症に有効な治療法の可能性を示すものであり、現在所属施設において臨床試験が準備されている。超高齢化社会を迎え、骨格筋萎縮は喫緊の国家的課題とも言え、様々な疾患に合併する筋萎縮の病態を解明し治療法を開拓する意義は大きいものと考える。
キーワード: mTOR, glucocorticoid receptor, degradation,
transcription, KLF15
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タンパク質の酸化修飾と老化
戸田年総
東京都健康長寿医療センター研究所・老化機構研究チーム
酵母や線虫で見つかった寿命遺伝子の多くはミトコンドリア機能やエネルギー代謝の制御、酸化傷害の防御修復などに関わっており、酸化ストレスが老化の速度を規定する要因の一つであることはまちがいない。ミトコンドリアなどで発生したスーパーオキシドはSODなどによって過酸化水素に変わり、さらにカタラーゼやペルオキシダーの働きで無害化されるが、一部はヒドロキシラジカルを経て生体分子を酸化する。タンパク質の酸化についてはリシンやアルギニンのカルボニル化がよく知られているが、実際タンパク質の中ではメチオニン残基が最も酸化を受けやすく、細胞内の酸化ストレスに素早く反応してスルホキシド型となる。多くの細胞はこれを還元修復する酵素を発現し対応していると考えられているが、老化動物の組織中で特定のタンパク質においてメチオニンスルホキシドの上昇が観察されており、老化に伴う細胞機能の低下に関わっている可能性が高い。
キーワード:protein, oxidative modification, methionine sulfoxide |
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サルコペニア予防における運動と栄養摂取の役割
藤田 聡
立命館大学・スポーツ健康科学部
加齢に伴う筋量と筋機能の低下(サルコペニア)は転倒による骨折の危険性を増加させるだけでなく、糖代謝や脂質代謝異常のリスクを増加し、高齢者の身体的自立を奪っていく。サルコペニアは骨格筋タンパク質の合成と分解のアンバランスから引き起こされると考えられ、特にタンパク質合成を刺激する因子に対する感受性の低下が関与している可能性が高い。一過性のレジスタンス運動と必須アミノ酸(特にロイシン)の摂取は共に骨格筋のタンパク質合成速度を急激に増加する。しかしながら通常食に含まれる糖質摂取によるインスリン分泌はアミノ酸によるタンパク同化作用を阻害することが高齢者で確認されており、加齢に伴う栄養障害がサルコペニアの原因となっている可能性が高い。この加齢に伴う栄養障害を考慮すると、日常生活においてレジスタンス運動のみならず有酸素運動との複合的な運動形態がサルコペニア予防には重要であると考えられる。
キーワード:サルコペニア、加齢、筋タンパク質代謝、レジスタンス運動 |
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2011年11月 35巻4号

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総説
βアミロイドによるcalsyntenin-3の誘導と神経変性 内田洋子
総説
社会心理的ストレスによる老化の促進とテアニンの抗ストレス作用 海野けい子
総説
活性酸素の生理機能 -エネルギー代謝亢進の解除時における活性酸素の生成亢進- 佐々木 徹
総説
哺乳動物の加齢に伴うDNAメチル化の変動 下田修義
学会報告
The 21st International Conference of the Korean Society for
Gerontology:
Intervention of Aging and Age-related Diseasesに参加して 丸山直記
学会報告
微笑みの国の老年学 丸山直記
随筆
老化研究事起こし------老化クロマチンに動的変化が? 三井洋司
附
基礎老化学会サーキュラー 第91号 |
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βアミロイドによるcalsyntenin-3の誘導と神経変性
内田洋子
東京都健康長寿医療センター研究所・老化制御チーム
アルツハイマー病の原因物質はβアミロイド (Aβ)
oligomerであり、その最初期病変はシナプス機能障害であることが確認されつつある。しかし、Aβによるシナプス機能障害の分子機構については、不明な点が多い。 私たちは、Aβoligomerによる遺伝子発現誘導を網羅的に検索し、シナプス蛋白の遺伝子calsyntenin-3を同定した。Calsyntenin-3はアルツハイマー病で脆弱なニューロンに主として分布することから、Aβと神経変性を結びつける重要な分子の一つと考えている。本稿では、calsyntenin-3のシナプス機能障害への関与について、私たちの研究を中心に紹介する。
キーワード: アルツハイマー病、βアミロイド、Calsyntenin-3、γ-secretase
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社会心理的ストレスによる老化の促進とテアニンの抗ストレス作用
海野けい子
静岡県立大学・薬学部
多くの人が日常生活において何らかのストレスを感じている。ストレスの負荷が長期間続くと心身の疾患を引き起こすとともに、老化を促進させると考えられている。本研究ではマウス間で社会心理的ストレスが負荷されるような実験系を作成し、老化への影響を検討した。その結果、長期にわたり社会心理的ストレスを負荷されたマウスでは寿命が短縮し、さらに大脳萎縮および学習能低下などの脳の老化が促進することを明らかにした。
また、ストレスによる生体への影響を緩和することができる抗ストレス作用物質として、緑茶中に含まれるテアニンの有効性を検討した。その結果、テアニンを摂取していたマウスでは、ストレスが負荷されていた場合でも寿命短縮が抑制されるとともに、脳の老化が抑制された。これらの結果から、社会心理的ストレスの蓄積により老化が促進され、テアニン摂取はストレスによる老化の促進を抑制する効果があることが明らかとなった。
キーワード:Psychosocial stress, aging, longevity, brain
dysfunction, theanine |
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活性酸素の生理機能-エネルギー代謝亢進の解除時における活性酸素の生成亢進-
佐々木 徹
東京都健康長寿医療センター研究所・老化機構研究チーム
活性酸素の生成とエネルギー代謝に相関関係があると考えられている。筆者らは、脳生組織を対象にex-vivo光イメージング法を用いて、活性酸素とエネルギー代謝の関係を調べた。その結果、活性酸素の生成とエネルギー代謝は単純な正の相関関係にないこと、活性酸素の生成は組織のエネルギー代謝の亢進に伴って生ずる低酸素の解除により亢進することが示された。このことは、組織の活性酸素の生成が活動時ではなく、活動から休止に移行する過程で亢進することを意味する。この現象の背景には、組織の低酸素とそれを原因とする「過還元」のあることが示唆された。近年、活性酸素にはレドックスシグナルとしての役割があることがわかってきた。今回、筆者らは生理的に生成する活性酸素の一端を捉えることができたと考えている。これまで、「活性酸素毒性説」による説明が試みられてきた老化や疾患の理論を、「活性酸素の生理機能」の視点で再構築する必要がある。
キーワード:活性酸素、酸化ストレス、エネルギー代謝、低酸素、生理機能 |
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哺乳動物の加齢に伴う DNA メチル化の変動
下田修義
国立長寿医療研究センター・再生再建医学研究部門
DNA
のメチル化やヒストン修飾などのエピジェネティック変化が老化に重要な役割を果たしているのではないかという見方が広まりつつある。これはひとつにはエピジェネティック修飾が環境により変化する、また細胞分化のために変化するように運命づけられているなどの、多少の不安定性を内包していることによる。しかしその最大の理由は哺乳動物の初期発生においてエピジェネティック修飾が完全にリセットされることにあると筆者は考える。本稿では哺乳動物の加齢に伴う
DNA メチル化の変化を記載した論文について方法論にやや重点を置いて紹介する。
キーワード:DNA methylation, CpG island, CpG island shore |
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