特徴と役割
高齢者ブレインバンクの特徴は、健常脳と疾患脳だけでなく、健常と疾患の途中段階の脳を多数含む点です。これは、高齢であっても正常な脳から病的な脳までを連続的に研究することによって、脳を正常に保ち長寿を全うする秘訣の解明に繋がると考えているからです。また、老化は正常と疾患との連続過程であり、それらを総合的に研究することが必要と考えていることによります。
ブレインバンクの重要な役割のひとつは、人体神経系組織を使用したい医学研究者に、その目的に適した組織を提供することです。高齢者ブレインバンクは、ヒト死後脳と神経病理診断を系統的に蓄積し、アルツハイマー病やパーキンソン病など高齢期疾患や神経難病の解明・治療法開発のために、倫理委員会の承認を得て国内外の研究者へ提供しています。
ブレインバンクは、医療者や研究者のみならず、脳組織をバンクへ提供したいという患者様・家族のお気持ちなくしては成り立ちません。皆様からの篤志を大切に、高齢社会の課題解決のために役割を果たしていきます。

三つの柱
高齢者ブレインバンクは主に三つの柱があります。一つは、お一人おひとりの病気の症状や変化、MRI,SPECT,PETなどの画像所見と、ヒト組織を直接検索する病理との比較をし、解析することです。臨床や病理の診断は難しいことが少なくなく、これらの解析結果が、現在治療を受けている方々に直接役に立ちます。
二つ目の柱は大学等での研究機関における基礎研究で、病気が発生するメカニズムの解明や新たな薬の開発に役立っています。
三つ目の柱は、大学や病院の学生や医師、医療スタッフへの教育です。次の世代を育てなければ、これまでブレインバンク登録されてきた方々の篤志の行き場が無くなってしまうため、教育は重要な柱だと考えています。診断の難しさと大切さ、臨床診断と病理診断との乖離がまだまだありますが、これは誤診ということではなく、医療機器と技術の進歩によって、診断がより複雑化しているということです。正確な判断のためには、データをより整理して解析する必要があると考えます。

公開講座
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ブレインバンク公開講座「健やかなこころとあたまのために」
2017年1月28日(土)13:00~16:00
@東京都健康長寿医療センター
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講演録:
ニュースレターvol.42014年度公開講座
ブレインバンク公開講座「健やかなこころとあたまのために」
2014年10月11日(土)13:00~16:00
@東京都健康長寿医療センター
動画視聴:
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講演録:
ニュースレターvol.2