- 東京都健康長寿医療センター(病院)
- 診療科・センター・部門
- 外科系
- 耳鼻咽喉科
- 診療科紹介
診療科・センター・部門
外科系
耳鼻咽喉科
特徴
耳鼻咽喉科では耳・鼻・口腔・咽喉頭・頸部領域の疾患の診療を行っています。本領域は、聞こえやめまい、におい、味や、飲み込みなど、日常生活を送るのに欠かせない機能に密接に関わっています。嚥下障害や加齢性難聴、ふらつき、悪性腫瘍など、特にご高齢の方で多く認められる疾患もあります。しかし、ご高齢の場合は、様々な身体合併症により治療方針の決定に難渋することが少なくありません。当科は、日本でも数少ない高齢者専門の耳鼻咽喉科としての豊富な経験を元に、「高齢だから」という理由でひとくくりにせず、患者さんお一人お一人と全人的に向き合い、高齢者のQOL(生活の質)向上を目的とした診療に努めております。
慢性中耳炎・慢性副鼻腔炎に対する外科的治療を積極的に行っています。高齢者の方でも外科治療により、聴力改善や耳だれの停止、鼻づまりや鼻汁・後鼻漏といった症状の改善が可能で、QOLを向上することが出来ます。
慢性中耳炎
リハビリテーション科、脳神経内科、歯科口腔外科、言語療法士等とのチームアプローチにより総合的な嚥下障害診療を行い、経口摂取の維持に努めています。
毎週月・水・木・金の午後に補聴器外来を開設し、適切な補聴器装用の指導を行っています。耳鳴に関しても、適切な補聴器装用は有効です。また、人工内耳手術の認定施設であり、補聴器の効果が得られない高度難聴の方には人工内耳の適応についてもご相談が可能です。
頭頸部悪性腫瘍には、狭帯域光観察(NBI(Narrow Band Imaging))が可能な耳鼻咽喉科ビデオスコープを導入し、癌病変の早期発見に努めています。診断がついた際は、東京科学大学頭頚部外科等の専門病院に紹介させて頂いております。

併存疾患などで、多種類の内服が必要な方もおられます。少しでも内服を減らしたい方、薬剤の副作用を懸念する方には、ご本人に合わせたご相談を行っております。
主な対象疾患・検査方法
- 頭頸部腫瘍:頭頸部がん・甲状腺腫瘍・唾液腺腫瘍
疾患診療方針概要
耳
内耳の中の感覚細胞や神経細胞が、加齢により消失することなどにより生じます。加齢性難聴により日常生活に支障を生じている場合は補聴器をフィッティングします。補聴器外来を毎週月・水・木・金の午後2時より開設し、補聴器のご相談に応じています。
鼓膜穿孔のある慢性中耳炎の場合、加齢とともに感染の持続・抗菌剤の効かない耐性菌の出現などにより重症化することがあることから、基本的には鼓室形成術(感染病巣の除去と音を伝える骨の連鎖の再建と、鼓膜穿孔の閉鎖を行う手術)・鼓膜形成術(鼓膜の穿孔を閉鎖する手術)を行います。また、真珠腫性中耳炎は、真珠腫が中耳内の骨組織を破壊する疾患であり、進行により難聴・めまい・顔面神経麻痺・髄膜炎などを生じうるにもかかわらず手術以外の治療法が存在しないことから、真珠腫を摘出する鼓室形成術を施行します。いずれも、入院期間は4~7日です。当院では従来の顕微鏡を用いた手術だけでなく、耳の穴の中に内視鏡を入れて行う低侵襲かつ安全な経外耳道的内視鏡下耳科手術(TEES)を積極的に実施します。経外耳道的内視鏡下耳科手術では、見える所にほとんど傷ができず、術後の疼痛もほとんどありません。
突然発症する、原因不明の高度感音難聴を総称して突発性難聴と呼びます。ウイルス、循環障害など原因に関しては諸説ありますが、現在のところまだ明らかになっていません。耳の中の内耳(蝸牛・前庭・三半規管)という器官に何らかの異常が生じています。高齢者の場合は、加齢による生理的な内耳の予備能低下もあり、治癒あるいは著明改善の確率は若年者に比し低く、40%台に留まりますが、併存症などに応じて可能な治療をご相談してまいります。
顔面神経は側頭骨の中の顔面神経管という細い骨の管の中を走行するため、神経に炎症が生じた場合、むくんだ神経が絞扼されて麻痺を生じます。
- Bell麻痺:原因不明の顔面神経麻痺の総称です。循環障害やウイルス感染など諸説がありますが、現在は単純ヘルペスウイルスの再活性化によるとする説が有力です。
- ラムゼイハント症候群:帯状疱疹ウイルスの再活性化によるもので、耳介の水疱・発赤やめまい・難聴といった内耳障害を伴います。
いずれも、糖尿病の方に発症することが多いと言われています。
治療は、副腎皮質ステロイド全身投与と抗ウイルス剤の内服を行い、さらにMRIによる部位診断・顔面神経刺激検査による予後診断により予後不良が予測される症例には顔面神経減量荷術をあわせて施行することがあります。
鼻
昔は、"蓄膿症"と呼ばれていた病気で、以前は歯茎を切って手術を行っていました。CTやアレルギー検査により、アレルギーが関与するタイプ(アレルギー性副鼻腔炎、好酸球性副鼻腔炎)、"かび"が関与するタイプ(真菌(しんきん)性副鼻腔炎)、歯科領域の病変が関与するタイプ(歯性上顎洞炎)を分類します。通常はマクロライドという抗菌剤の少量長期療法を基本とし、3ヵ月程度の内服療法で改善が見られない場合は、手術を行います(疼痛などの症状が強い場合、真菌感染・腫瘍が疑われる場合、および高度な炎症がある場合は早期に手術を行うこともあります)。現在はほとんどの方に対し全身麻酔下で内視鏡を用いて鼻の中より手術を行っていますが、CT画像上にリアルタイムで手術器具の先端を表示し目的部位に正しく導く画像支援ナビゲーションシステムを導入し、眼窩や頭蓋との境界を明示することでより安全な手術が可能です。入院期間は4~7日です。
慢性副鼻腔炎の中でも治療抵抗性で、手術を行っても再発率が高いものを、好酸球性副鼻腔炎といいます。現在難病に指定されています。画像上、篩骨洞というところを中心に炎症が生じやすいという特徴があり、気管支喘息やアスピリン喘息を高率に合併します。ステロイドが著効することが多いのですが、長期内服で副作用が生じる可能性があり、手術を選択することが多いです。副鼻腔を大きく開放することが大切とされており、合併症予防でナビゲーションシステムを用いて、より安全に手術が行えるようにしています。また術後再発した症例に限られますが、ステロイドに代わる治療法として、生物学的製剤(抗体医薬)治療も積極的に行うようにしています。
バスでの死亡事故等を受け注目されるようになった睡眠時無呼吸症候群ですが、軽症や中等症の場合にはマウスピース、重症の場合にはCPAP(持続陽圧呼吸療法)治療が用いられることがあります。まれに、鼻の疾患(鼻中隔弯曲症やアレルギー性鼻炎)の存在で、これらの治療がうまく出来ないことがあります。鼻腔通気度検査を行い、有効性が示唆される場合には、鼻中隔矯正術や下鼻甲介骨切除術といった鼻腔形態改善手術を行っています。
現在日本人の2人に1人が罹患しているといわれている、花粉症を代表とするアレルギー性鼻炎。一般的には抗ヒスタミン薬といわれる内服治療を行いますが、鼻閉の症状が強い方には、下鼻甲介粘膜下減量術や鼻中隔矯正術といった手術を行っています。
のど
声がれを生じる病気です。音声の安静や禁煙指導、消炎剤の内服などで保存的治療を行いますが、声がれが改善しない場合は手術を行います。全身麻酔で行い、二泊三日の入院ですが、手術後一週間発声を禁じ声帯の安静を保ちます。
加齢、脳血管障害や神経筋疾患、頭頸部腫瘍などさまざまな原因で「のみこみ」の障害が起こります。神経学的診察と嚥下内視鏡検査や嚥下造影検査などにより、原因不明の嚥下障害の診断や、脳梗塞後などの嚥下障害に対しては、食事形態・摂食方法の指導やリハビリテーション介入の適応の判断を行っています。嚥下障害の背景は多岐にわたることからチームアプローチが重要ですが、リハビリテーション科、神経内科・脳卒中科、歯科口腔外科、言語療法士が密に連携を取り合い、病態に応じた全人的な診断・治療を行い、誤嚥性肺炎の防止・経口摂食の維持に努めています。
頭頸部がん
頭頸部がんは耳鼻咽喉科領域のすべての領域に発生します。これらの領域は日常生活に深く関与する機能(食事を摂取して食道へ運ぶ機能、呼吸をして声を出す機能など)を有する所です。頭頸部がんを治療するにあたり、患者さんの治療後の状態(QOL、quality of life)を考えた治療を行う必要があります。一番大切なのは早期発見・早期治療です。当院ではNBI内視鏡(特殊光によりがんを早期に発見できる)を導入し、早期がんの診断に力を入れています。鼻腔・咽頭・喉頭に発生するがんは、それぞれ病変の広がりや種類により治療方針が異なります。それぞれの方に合わせた専門性の高い治療ができる、大学病院やがん専門病院にご紹介しています。
のど仏の下にある甲状腺に発生する腫瘍です。良性か悪性かの鑑別を超音波検査や穿刺吸引細胞診で行い、治療方針の決定を行います。一般に、甲状腺がんは若年よりも高齢者の方が予後が悪く、良性腫瘍と診断される場合も、3cmを超える場合は摘出後悪性と診断されることがあることから摘出をお勧めしています。一方で、悪性であっても、1cm以下の微小乳頭がんは摘出をしなくても95%以上が5年以上不変であるとされていることから、手術をせずに定期的に経過観察を行い、拡大するようであれば摘出手術を行っています。手術の場合、入院は8~10日間です。
つばを作る唾液腺に生じる腫瘍で、多くは耳の下にある耳下腺、顎の下にある顎下腺に生じます。耳下腺腫瘍の20~30%、顎下腺腫瘍の30~40%は悪性であるとされており、また良性とされる腫瘍の中にも多形腺腫というタイプは後に5~10%が悪性化するといわれています。唾液腺がんは放射線治療や化学療法はあまり有効でないとされていることから、顎下腺腫瘍や耳下腺多形腺腫は摘出をお勧めしています。手術の場合、入院は8~10日間です。
医療関係者の方
月・水・金は2診体制のため、聴力検査等の検査が混雑していることが多いです。
補聴器希望でご紹介いただく場合は、必要な検査に時間を要するため、火・木の予約枠を取得して頂けますと幸いです。
嚥下障害の診察をご希望の場合は、奇数週の水曜日に嚥下外来を行っておりますので、直接こちらの予約を取得することが可能です。
頭頸部良性・悪性腫瘍に関しては、検査・診断まで行う事は可能ですが、診断後は大学病院等に紹介させて頂いております。
気道緊急が疑われる症例につきましては、医療連携係経由でご相談ください。
人員や病床の混雑状況によってはお受けできない可能性がありますので、ご了承ください。