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医療健康コラム

血管病の再治療は血管外科専門医に任せるのが最適です

2025年11月20日
血管病センター 血管外科 専門部長 松倉 満
松倉満先生
血管病センター 血管外科 専門部長
松倉 満(まつくら みつる)

"人は血管と共に老いる"この有名な格言が表すように、動脈硬化の進行に伴い発症する血管病は全ての方が罹患する疾患であり、加齢と共に急激に症状が顕在化します。血管病は根治という概念がありませんので、生涯にわたる適切なフォローアップが肝要です。専門医による適正な診療を受けて、生活習慣の改善と薬物療法に努めることが治療の基本となります。ただし大動脈瘤や末梢動脈疾患は手術治療が必要となる場合も多く、大動脈瘤切除や下肢バイパス術等の観血的手術、もしくはステントグラフト内挿術や血管内治療が施行されます。

血管外科では大動脈瘤や下肢動脈に対する難易度の高い手術を日常的に行っていますが、低侵襲とされる血管内治療であっても治療を行った血管は肥厚して変性するため、動脈が閉塞して複数回手術が必要となる可能性があります。下肢バイパス術後の場合、移植したグラフトが閉塞もしくは感染して初回治療から10年以上経過して再手術を要することも稀ではありません。

一般に再手術は初回手術と比較して、格段に難易度が上がります。観血的手術では炎症で癒着した血管の剥離に伴う大量出血のリスクがあり、予期せぬトラブルが頻繁に起こります。最適な治療計画を立案することは勿論ですが、治療を完遂するために臨機応変な術中判断と技術力が求められます。このような高度の専門性が求められる血管病の再治療は、経験豊富な専門医が在籍する血管外科が最も適した診療科となります。実際に当科でも病歴の長い方に対する再治療件数が増加しており、外科的バイパス術を受け年以上経過したバイパスグラフトの閉塞例、大動脈瘤に対して人工血管置換術を受けて20年以上経過して仮性瘤を形成した症例、ステントグラフト治療後遠隔期の瘤拡大例など、多種多様な症例を経験しています。

当科で再治療を行った症例を供覧します。患者さんは20年以上前に他院で腹部大動脈瘤に対して人工血管置換術を受けた方です。人工血管置換部に一致して大動脈瘤形成しており、胸部下行大動脈にも60mmを超える大動脈瘤を認めました(図1)。

血管病の再治療01図1
血管病の再治療02図2

高齢であり手術を受けるか悩まれていましたが、瘤破裂のリスクが高い状態であり再治療に踏み切ることを選択されました。胸部・腹部大動脈の同時手術となりますが、術前画像を詳細に検討して胸部・腹部共にステントグラフト内挿術が可能と判断しました。本症例では胸部ステントグラフト留置に使用するシースが約9mmと太く、術前画像で人工血管左脚が動脈瘤により圧排されていたことから、開腹して人工血管左脚からシース挿入し手技施行しました(図2下記画像)。

術後経過は良好で術後15病日に退院されました。治療が順調に終了したことでご本人も安堵され、ご家族より感謝の手紙を頂いております。

昨年度より定期的なフォローアップを受けていない方に対する緊急手術が増えており、専門医として現状に危機感を持っております。血管病センターの中核を担う、血管外科の新たな試みとして、他院で手術加療を受けて定期的な診察を受けていない方を対象に、"血管フォローアップ外来"を開設する予定です。本外来は完全予約制で火・木曜日午後に各日1名限定で診療します。遠方で相談希望の方はオンライン対応しますので、該当の方がおられましたら周知お願い致します。

上記に関連して血管病で悩まれている方、診療科の選択を迷われている方は、血管病センター宛にご紹介頂ければ適切な診療科をご案内します。

東京都区西北部の基幹施設として適正な血管診療を実現するために尽力します。

信頼できる医療機関として、血管病センターをご活用頂きますようお願い致します。

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