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医療健康コラム

肺がんの治療は大きく進歩しています

2025年07月23日
呼吸器内科 部長 齋藤朗

令和7年4月より着任しました、呼吸器内科の齋藤朗と申します。今回は、当科で行っている肺がんの薬物療法について紹介させていただきます。

肺がんは男性、女性ともに多くみられます

日本人が一生のうちにがんと診断される確率は、男性が62%、女性が49%であり、およそ2人に1人です。男性では前立腺がん・大腸がんに次いで、女性では乳がん・大腸がんに次いで、肺がんの罹患数が3番目に多いです(令和2年のデータ)。年齢を重ねるごとに罹りやすく、70~90歳代の患者さんが多いです。

肺がんの治療01

肺がんの治療は、外科治療・放射線療法・薬物療法に分けられます

肺がんの治療02

どの治療法を選択するかは、組織診断(腺がん・扁平上皮がん・小細胞がん)、臨床病期(ステージ)、全身状態や合併症、そして患者さん本人の意思や、周囲からの支援状況によって決まります。

肺がんの診断や治療には、外科医・放射線治療医・内科医・緩和ケア医・病理医といった、複数の診療科の医師が関わっています。当院では呼吸器外科・放射線治療科・呼吸器内科・病理診断科が集まって、患者さんの治療方針について相談するカンファレンスを毎週開催しています。さらに、看護師・薬剤師・管理栄養士・理学療法士・臨床心理士・ソーシャルワーカーなど、様々な職種のスタッフも、肺がん治療にチームとして関わっています。

呼吸器内科では、おもに肺がんの薬物療法を行っています。治療薬は「分子標的治療薬」「抗がん剤(細胞障害性抗がん薬)」「免疫チェックポイント阻害薬」に分けられます。抗がん剤は、免疫チェックポイント阻害剤あるいは分子標的治療薬と同時に用いられることもあります。さらに、抗がん剤の治療と同時に放射線療法が行われることもあります。

気管支鏡検査による肺がんの診断

最も適した治療薬を選択するために、組織診断とあわせて、遺伝子異常(EGFR遺伝子変異など)の有無や、免疫チェックポイント阻害薬の効果を予測するタンパク質を調べることが役立ちます。

呼吸器内科では、肺がん組織の一部を採取する目的で、(超音波)気管支鏡検査を行っています。仮想気管支鏡ナビゲーションや気管支腔内超音波断層法などの技術によって、より安全で確実な検査が可能になっています。

さらに検体を採取してから直ぐに、臨床検査技師が顕微鏡で観察することで、診断の精度が向上しています。当科では病理診断科と共同で、迅速かつ感染リスクのない細胞染色法「改変Ultrafast Papanicolaou染色」を開発し、活用しています。

肺がんの治療04
肺がんの治療05
肺がんの治療05

肺がんの薬物療法の進歩

肺がんの免疫療法として、免疫チェックポイント阻害剤のニボルマブが、2015年に初めて認められました。現在では6種類の免疫チェックポイント阻害剤が用いられており、単独で使われるだけでなく、抗がん剤との併用、手術前や手術後の治療、抗がん剤および放射線治療の後、などの様々な場面でも使われており、肺がん治療は大きく様変わりしています。

肺がんの原因となっている特定の遺伝子変異が見つかる場合もあり、これを狙い撃ちする分子標的治療薬の進歩も目覚ましいものがあります。肺がんに対する分子標的治療薬は、2010年には数種類のみでしたが、現在では25種類ほどに増え、毎年のように新薬が登場しています。

高齢者機能評価による治療方針の検討および意思決定の支援

肺がん治療の選択肢が増えつづけている中で、患者さん一人ひとりに合った治療方針を提案し、納得していただく必要があります。当科では肺がん患者さんに対して「高齢者機能評価」を行っており、身体的、精神・心理的、社会的な背景を把握するよう努めています。さらにその結果を、適切な治療法の検討や、ご本人の意思決定の支援に活用しています。

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