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医療健康コラム

骨を守る3つのステップ―予防・薬・手術 ~骨粗鬆症のお話

2026年03月01日
整形・脊椎外科 専門部長 早川 謙太郎
整形・脊椎外科 早川先生
整形・脊椎外科 専門部長
早川 謙太郎(はやかわ けんたろう)

骨粗鬆症(こつそしょうしょう)とは、骨の強度が低下する病気です。進行すると軽微な外力で骨折を起こしやすくなります。これを脆弱性(ぜいじゃくせい)骨折といいます。高齢者の脆弱性骨折は、寝たきりにつながる深刻な問題です。本稿では段階に応じて①予防、②薬物治療、③(脊椎圧迫骨折に対する)手術治療の3つに分けて説明します。

①予防

運動

2つの観点から重要です。一つは、下肢や体幹の筋力をつけて運動機能を改善することで、転倒を防止することで骨折を予防する効果が期待できます。また、骨は負荷をかけると強くなる、すなわち骨密度が上昇することが分かっています。ですので、荷重運動(歩行やスクワットなど)で習慣的に骨に負荷をかけることが必要になってきます。

栄養

骨に重要な栄養素の代表がカルシウムやビタミンDです。これは骨を作るための材料のようなものです。日本人の平均カルシウム摂取量はやや不足していると言われていますが、食事で適切なカルシウム量をコントルするのは実は難しく、またカルシウムの取りすぎもあまり良くないことが分かっています。カルシウムの摂取量が少ないという自覚のある方は、カルシウムやビタミンDのサプリメントを服用するのも一つの方法です。

体重

太りすぎはよくない、というイメージがありますが、骨の健康については、実は、やせすぎのほうが注意が必要であることが分かっています。これは体重が軽いことによって骨に負荷がかからず、骨密度が上がらないためと推測されています。なので、単純に体重(体脂肪)を増やすというよりも、適度な運動により筋肉で体重加させることによって、骨に負荷をかけていくのが望ましいと言えるでしょう。

②治療(図1)

骨密度検査の値が低いと、「骨粗鬆症」と診断され、薬物治療の適応になります。また、骨密度検査の数値が正常範囲内であっても、脊椎圧迫骨折や大腿骨近位部骨折といった、骨の脆弱性を示す骨折を起こした場合は、骨粗鬆症に対する薬物治療が必要です。

私たちの骨は古い骨を壊して(骨吸収)、新しい骨を作る(骨形成)ことにより、日々新たな骨に生まれ変わっています。骨吸収の速度が骨形成を上回ってしまうと、骨粗鬆症の状態になるというわけです。骨粗鬆症の治療薬は、骨形成を高める「骨形成促進薬」と、骨吸収を防ぐ「骨吸収抑制薬」に二分されます。現在は注射や飲み薬など色々な種類があり、使用できる期間に制限のある薬もあります。骨密度や骨折の有無、全身状態などから適切な骨粗鬆症薬を総合的に判断する必要があります。主治医としっかり相談しましょう。

スクリーンショット 2026-06-22 18.49.14(図1)骨粗鬆症と薬物治療

③手術

脊椎は身体のあらゆる部位の中でも、骨粗鬆症に伴う骨折(脊椎圧迫骨折)が最も起こりやすいと言われています。近年の高齢化に伴って脊椎圧迫骨折の数も増えている傾向にあり、当院にも多くの患者さんが受診されます。コルセットを装着して少し安静にすることによって、多くの場合は数週間で仏痛が治まり、やがて骨折部が癒合・硬化します。

しかしながら、骨折が治癒せずに①骨折による痛みが続く、②骨折が固まらずに脊椎が潰れ続けることにより、脊柱変形(腰曲がり)や神経障害が生じる、といった経過をたどり、手術治療を要する方もいらっしゃいます。単純な骨折であれば(図2)のような手術で済みますが、骨折による変形や神経障害が進行すると(図3)、ひいては(図4)のような手術が必要になることもあります

スクリーンショット 2026-06-22 18.50.28(図2)経皮的椎体形成術(VBS)
骨折した椎体にステントとセメントを充填させ、強度を高めています。
スクリーンショット 2026-06-22 18.50.33(図3)経皮的椎体形成術+脊椎後方固定術
図2の手術に加え、インプラントを用いて固定力を強化しています。
スクリーンショット 2026-06-22 18.50.40(図4)椎体短縮術
骨折椎体をさらにつぶす事で骨折部の空洞をなくし、変形を矯正しています。 支えるためにはより多くのインプラントが必要です

そのため、後々になって骨折の後遺症(変 形や仏痛)を来たすことで大きな手術が必 要になることが危惧される場合は、前もって(図2)のような低侵襲な手術を行う方が増えてきました。経皮的椎体形成術という 術式で、BKP(balloon kyphoplasty)やVBS (vertebral body stenting)などとも呼ばれます。骨折した椎体を膨らませて出来た空洞にセメントやステントを充填し、強度を高める手術です。全身麻酔が必要ですが、傷口は 数㎜で出血もほとんどありま せん。骨折の痛みは速やかに改善します。当院整形・脊椎外科のホームページでも紹介していますので、ぜひご覧ください。

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