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医療健康コラム

がんの放射線治療について

2026年09月01日
放射線治療科 部長 内田伸恵
内田先生顔写真
放射線治療科 部長
内田伸恵(うちだのぶえ)
 2026年4月より、放射線治療科部長として着任しました。よろしくお願いします。私は大学卒業後、放射線治療の診療および教育・研究にかかわってきました。放射線治療の有効性だけでなく難しさも多く経験しましたが、がん診療においてなくてはならない素晴らしい治療法だと実感しています。
 「がんの放射線治療」と聞くと、「なんだかよくわからない」「危険そうで怖い」という漠然としたイメージを持たれるかたが多いようです。しかし、放射線治療装置や照射技術が大きく進歩し、治療成績も格段に向上しています。
 放射線治療の主な特徴は下記のとおりです。簡単にご紹介します。

  • 侵襲が低い(全身的負担が少ない)
  • 守備範囲が広い(多様な病態で治療実施可能)
  • 腫瘍のできた臓器を切除せずに治す(形態と機能の温存)
  • キーワード:ピンポイント照射・オリゴ転移・チーム医療

全身的負担が少ない治療

 当センターの放射線治療装置は、エックス線と電子線を発生させて病巣に精密に照射します。使用頻度が高い のはエックス線で、胸部写真やCT検査で使うのと同じ種類です。放射線を体内の病巣に対して2分間程度かけてさまざまな方向から狙い撃ちします。位置合わせをする時間もあわせ、治療室に入室してから終了まで15分間程度です。これを毎日(月曜から金曜日まで)繰り返します。目的や病気の種類、患者さんの状態によって、1回で終了から30回程度必要な場合もあります。放射線による影響が起こるのは、病巣とその周囲のみで、全身的影響はほとんどありません。基本的には外来通院で治療可能です。このため、多くの患者さんがこれまでどおりの仕事や生活をつづけながら放射線治療を受けています。

多様な病態で実施可能

  • がん細胞の種類を問わず、ほぼ全ての悪性腫瘍が放射線治療の対象となります。
  • 頭から足先まで、体の奥深くであっても、治療できます。
  • 病巣が小さくて転移していない状態(早期がん)に対する根治的な治療から、転移病巣の痛みや出血などの症 状を和らげる緩和照射まで、幅広く対応できます。のど・子宮・肺・食道・前立腺の癌などでは、放射線治療だけ、あるいは薬物療法(抗がん剤)と組み合わせて根治を目指せます。また骨転移で痛みが強い場合も、1回の治療で有効です。

形態と機能を温存

 放射線治療では、腫瘍のできた臓器を手術切除せずに、毎日放射線を照射してゆっくりと小さくしていきます。手術しないため、形態(見た目)が変わらず、
臓器のもともとの機能を温存する(保つ・残す)ことが可能です。例えば、「のど」の癌を切除しないで放射線と抗がん剤で治療した場合は、発声機能を温存することが可能です。
糸でんわ189_内田先生図_明るさ調整 東京都健康長寿医療センターの放射線治療装置

今後に向けて

メリットの多い放射線治療ですが、今後さらに治療効果を高め、副作用を減らし、治療期間を短くしたい、と考えています。キーワードは下記です。
  • 定位照射(ピンポイント照射)
   5cm以下の小さな腫瘍に対して放射線を精密に集中させる「ピンポイント照射」は、副作用が少なく、1回から5回程度の治療で終了します。脳転移、肺癌や肝癌で実施しています。
  • オリゴ転移
   転移が全身で5個以内の状態です。オリゴ転移にも定位照射が有効なことがわかってきました。免疫チェックポイント阻害薬との併用効果も期待されています。
  • チーム医療
   放射線治療専門医・看護師・診療放射線技師・品質管理士・医学物理士が専門家チームとして、主治医と協力して治療を実施します。

ご相談は

 院内診療科からのご紹介のみの完全予約制です。個別の適応などについて詳しく知りたいかたは、まず主治医や当センター地域連携係にご相談ください。


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