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医療健康コラム

急性大動脈スーパーネットワークの一員です

2024年06月03日
心臓血管外科部長(診療科長)/血管外科部長(診療科長) 河田光弘
心臓血管外科部長(診療科長)/血管外科部長(診療科長)
河田 光弘(かわた みつひろ)

この様な緊急手術が必要な患者さんを搬送受け入れしています

(実際の経験例)80歳代後半の女性。17:20頃に突然うなり声を上げ胸背部痛、左腕脱力を訴えました。息子さんが救急車を要請しました。救急隊が到着し左腕の血圧は低くて測定できませんでした。某大学病院救命救急センターへ搬送された時には腕の血圧に左右差があり、左腕は動かせなく(不全麻痺)、左足には触った感覚がない(感覚鈍麻) 状態でした。

CT検査で急性大動脈解離Stanford A型の診断となり、緊急手術が必要であると判断されましたが、その大学病院では、その時間帯で手術室が対応できないとの事で、他に緊急手術ができる病院へ再度搬送しなければなりませんでした。そこで、急性大動脈スーパーネットワークの一員である当院へ転院して、緊急手術をしてくれないか?と連絡が入り、当院で受け入れることはできます!とお返事しました。

同時に手術に必要な検査結果もFAXなどで迅速に送ってもらえました。当院の麻酔科医、手術室ナースにも連絡し緊急手術準備を始めました。患者さんは19:12当院に到着しました。すぐに集中治療室にて緊急手術の説明、同意を得てから、鎮痛、鎮静をして人工呼吸器装着し、各種点滴ラインを確保して、20:10手術室に入り緊急手術として上行大動脈置換術を行いました。

無事に救命出来て、術前に出現していた左半身の麻痺症状は右脳へ血流がしっかりと届くようになり、術後は改善してゆきました。術後1か月で退院できました。現在90歳代前半になりご健在です。

急性大動脈スーパーネットワークとは?

笑福亭笑瓶さん、もんたよしのりさん、少し前では、大滝詠一さんが急性大動脈解離という病気でお亡くなりになったと報道されました。突然起こりうる怖い大動脈疾患です。

東京都において、急性大動脈疾患(急性大動脈解離、大動脈瘤破裂など)に対し循環器内科と心臓血管外科が協力して緊急診療体制をとり、効率的に患者さん受入れを可能とする「急性大動脈スーパーネットワーク」が、2010年11月1日午前9時よりスタートしました。

当院は2015年10月1日より緊急大動脈支援病院として参加しております。
この急性大動脈スーパーネットワークの目的は、「緊急大動脈疾患に対しより効率的な患者搬送システムを構築し、時間依存性の本症への迅速な外科治療等の実施体制を設け、死亡例を減少させ、都民の健康維持に寄与すること」にあります。急性大動脈スーパーネットワークのホームページに示されています。つまりこの急性大動脈疾患が起こった場合に、早期診断・早期手術治療が救命のカギになります。前述の経験例は、急性大動脈解離Stanford A型でしたので、手術なしで様子を見ていると発症から48時間以内に50%が死亡してしまうと報告されています。例え大学病院救命救急センターに搬送されても手術室が空いていない場合や、心臓血管外科医が他の手術中である場合は、迅速に緊急大動脈手術ができる施設に搬送して手術が受けられることが救命に繋がります。緊急大動脈手術のための病院間ネットワークがあったため、前述の経験例は、緊急大動脈重点病院である大学病院から、緊急大動脈支援病院である当院へスムーズに転院し緊急手術にて救命出来ました。

現在、急性大動脈スーパーネットワークの参加病院は、緊急大動脈重点病院(14施設)と緊急大動脈支援病院(28施設)により構成されています。
詳細は急性大動脈スーパーネットワーク ホームページをご参照下さい。
URL:https://www.ccunet-tokyo.jp/acute-aorta

当院におけるコロナ禍である2020年~2023年における年間の急性大動脈スーパーネットワークに係る受け入れ件数を下記に示します。
  • 2023年23件・2022年23件・2021年29件・2020年23件
    この件数は、下記のコロナ禍以前の受け入れ件数よりも増えておりました。
  • 2019年11件・2018年15件・2017年16件・2016年16件
  • 2015年10件
    (2015年10月1日~急性大動脈スーパーネットワーク支援病院に認められました)

当院の体制

  • 心臓血管外科:主に人工心肺装置を使用して心臓や胸部大動脈を手術します。
  • 血管外科:主に腹部大動脈、脳血管以外の全身の末梢動脈・静脈の手術をします。

心臓血管外科の3名(河田光弘、乾明敏、村田知洋)、血管外科の2名(松倉満、牧野能久)は全員心臓血管外科専門医です。また胸部ステントグラフト内挿術、腹部ステントグラフト内挿術、浅大腿動脈ステントグラフト内挿術などの血管内治療も緊急対応しております。

心臓血管外科の1名(眞野曉子)は循環器専門医・集中治療専門医であり集中治療室にて重症管理を熱心に行っております。この心臓血管外科・血管外科と、循環器内科とが密に協力して、麻酔科医、集中治療室看護師、手術室看護師、臨床工学技士、放射線技師、リハビリテーション科、栄養科、薬剤師、一般病棟看護師の協力も得て、患者さんが緊急手術を安全に受けられて、元気に退院できるように日々診療活動をしています。

急性大動脈スーパーネットワーク01
急性大動脈スーパーネットワーク02
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