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医療健康コラム
アルツハイマー病治療薬の「今」と「これから」
2026年09月01日
臨床開発ユニット ユニット長 井原涼子
臨床開発ユニット ユニット長 井原涼子
臨床開発ユニット ユニット長
井原涼子(いはらりょうこ)
井原涼子(いはらりょうこ)
進行を抑える新薬「抗アミロイドβ抗体薬」
アルツハイマー病は、認知症の原因として最も多い病気です。脳内に「アミロイドβ」 というたんぱく質が溜まり、神経細胞の働きが悪くなり、しまいには神経細胞が死ん でしまうことで物忘れ症状が出ます。これまでの飲み薬は症状を和らげるものでした が、近年登場した「レカネマブ」や「ドナネマブ」などの「抗アミロイドβ抗体薬」は、 原因物質であるアミロイドβを取り除き、病気の進行そのものを抑える革新的なお薬 です。選択肢ができたことによって、患者さんごとにご希望に合わせた薬の選択が可 能になりました。当センターでの診療状況、「患者さんの選択」の大切さ
発売から2年半が経過し、当センターでは多くの方を受け入れてきました。2026年6月末までに、計215名(レカネマブ143名、ドナネマブ72名)の方がこの治療を開始しています。一方で、詳しい説明を聞いたうえで最終的に治療に進んだ方は、専門外来受診者の約38%にとどまります。調べたら適応を満たさなかったという方
も多くいらっしゃいますが、最も多い理由は「効果やデメリット(通院負担や副作用など)を総合的に考慮し、治療を選択しなかった」というものです。この薬はすべての方に適しているわけではなく、進行抑制の効果とデメリットのバランスを、ご自身やご家族がどう捉えるかが非常に大切になります。
も多くいらっしゃいますが、最も多い理由は「効果やデメリット(通院負担や副作用など)を総合的に考慮し、治療を選択しなかった」というものです。この薬はすべての方に適しているわけではなく、進行抑制の効果とデメリットのバランスを、ご自身やご家族がどう捉えるかが非常に大切になります。
気になる副作用と安全性について
治療にあたっては、脳の微小な出血やむくみといった副作用(アミロイド関連画像異常)に注意が必要です。
当センターでも投与中断・中止に至ったケースはありますが、症状を伴う重篤なものは現在のところありません。決められたタイミングでMRI検査を行い、しっかり見守る体制のもとで進めれば、漠然と恐れすぎる必要はないかもしれません。
当センターでも投与中断・中止に至ったケースはありますが、症状を伴う重篤なものは現在のところありません。決められたタイミングでMRI検査を行い、しっかり見守る体制のもとで進めれば、漠然と恐れすぎる必要はないかもしれません。
効果の検証と今後の展望
実際の効果には個人差が見られます。当センターでは、バイオマーカー検査などを組み合わせ、どのような方に効果が高いかを事前に予測し、個別化された治療を提案できるよう研究を進めています。さらに将来の展望として、アミロイドβは溜まっているけれども症状が出る前の段階(前臨床期アルツハイマー病)から投与して発症を防ぐ治療や、もう一つの原因たんぱく質「タウ」を標的とした治療薬の開発も進行中です。おわりに
レカネマブの登場は認知症診療の転換として大きな話題を呼びましたが、認知症治療の未来に向けた「はじ めの一歩」に過ぎません。当センターでは、患者さんお一人おひとりの選択を尊重しながら、今後も最新の知見を取り入れた診療、そしてより良い診療を目指すための研究を行ってまいります。
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