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- AIが「笑顔の作りにくさ」からアルツハイマー病の脳変化を可視化 ― 側坐核・淡蒼球の萎縮と関連、顔表情による新たな診断アプローチ ―
研究のポイント
- AIにより「笑顔の強さ」を定量化する手法を開発
- アルツハイマー病(AD)では笑顔を作る能力が低下
- 笑顔の低下は、側坐核・淡蒼球(喜びや動機づけに関わる脳領域)の萎縮と関連
- 真顔よりも笑顔の方がADと健常者の識別精度が高い
- 顔表情と脳変化を結びつけた、非侵襲的バイオマーカーの可能性
研究の背景
研究グループはこれまで、人工知能(AI)を用いて真顔の写真のみからアルツハイマー病を識別できることを報告してきました(Umeda-Kameyama et al., Aging, 2021)。
この先行研究は、顔の静的な特徴に認知機能低下の情報が含まれている可能性を示しました。
今回の研究内容
本研究では、真顔に加えて笑顔の写真を対象とし、深層学習を用いて「笑顔の強さ(smile score)」を定量化しました。
その結果、
- アルツハイマー病患者では、笑顔が曖昧で自然な笑顔を作ることが難しい
- 笑顔画像は、真顔よりも高い精度でADと健常者を識別可能
であることが分かりました。
さらに、笑顔の強さと脳MRI画像を解析したところ、側坐核(nucleus accumbens)、淡蒼球(globus pallidus)の体積と相関が認められました。
これらの部位は、喜びや報酬、動機づけに関わる脳の中枢であり、アルツハイマー病における萎縮が笑顔の下手さにつながっている可能性が示されました。
研究の意義
本研究は、
- AIによる表情の定量化
- 行動(笑顔)の障害
- 脳の生物学的変化
を結びつけた点が特徴です。
顔という日常的で非侵襲的な情報から、アルツハイマー病の病態を反映する新たなバイオマーカーとしての可能性が示されました。
将来的には、早期診断や病状評価、治療効果判定への応用が期待されます。
掲載情報
掲載誌:Artificial Intelligence in Medicine
論文名:Smiling difficulties in Alzheimer's disease linked to reduced nucleus accumbens and pallidum brain volume: Deep learning insights
著者: Tomomichi Iizuka (飯塚友道), Yumi Umeda-Kameyama (亀山祐美),Makoto Fukasawa (深澤誠), Masahiro Akishita (秋下雅弘),Masashi Kameyama (亀山征史)*
公開状況:採択済み(オンライン pre-proof 公開中)
DOI 10.1016/j.artmed.2025.103347(103347)
お問い合わせ
神経画像研究チーム AI画像解析
亀山 征史
認知症疾患医療センター センター長
飯塚 友道