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- 高齢者のフレイルと腸内細菌の意外な関係~大豆から作られる「エクオール」に注目して~
自立促進と精神保健研究チーム 小島成実
フレイルは誰にでも起こりうる
年齢を重ねると、「以前より疲れやすくなった」「外出がおっくうになった」「歩く速度が遅くなった」と感じることがあります。このような心身の機能低下が進み、健康な状態と要介護状態の中間に位置する状態を「フレイル」と呼びます。フレイルになると、転倒や入院、要介護認定のリスクが高まることが知られています。しかし、早い段階で気付き、適切な対策を取れば先送り/改善できる可能性があるため、近年大きな注目を集めています。
エクオールとは何か
今回私たちが注目したのは、「エクオール」という物質です。エクオールは、大豆に含まれるイソフラボンの一種「ダイゼイン」から、腸内細菌によって作られます。ところが、誰でも作れるわけではありません。腸内に特定の細菌を持っている人だけがエクオールを産生でき、日本人高齢者ではおよそ半数程度とされています。
エクオールには、
- 女性ホルモン(エストロゲン)に似た働き
- 抗酸化作用
- 抗炎症作用
651人の高齢者を対象に調査
本研究では、東京都板橋区在住の高齢者651人(平均年齢75.6歳)を対象としました。
参加者の尿中エクオール濃度を測定し、
- エクオールを産生できる人
- エクオールを産生できない人
- 体重減少
- 筋力低下
- 疲労感
- 歩行速度低下
- 身体活動量低下
エクオールを産生できる人はフレイルが少ない!
解析の結果、エクオール産生能を持つ人では、フレイルまたはプレフレイルである割合が低いことがわかりました。また、エクオール産生能を持つ人は身体活動量の低下が少ない傾向が認められました。図1は、エクオール産生能とフレイル関連指標との関係を示しています。
図1. エクオールを産生できない人を基準とした、産生できる人におけるフレイルや関連項目の起こりやすさ。太い横棒は年齢や性別の影響を考慮した指標(オッズ比)を示し、短いほどリスクが低いことを意味します。細い横棒(信頼区間)が縦(1.00)の線を跨がないとき、「統計学的な差がある」ことになります。
腸内細菌が健康長寿に関わる可能性
今回の研究から、腸内細菌によるエクオール産生能が、高齢期の健康状態と関連している可能性が示されました。ただし、この研究は一時点での観察研究であり、「エクオールを作れるとフレイルにならない」といった単純な因果関係を証明したものではありません。一方で、
- 大豆食品の摂取
- 多様な食品をバランスよく食べること
- 適度な運動習慣
参考文献
Kojima N, Shida T, Ohta T, Motokawa K, Okamura T, Hirano H, Sasai H. Association of Urinary Equol Concentration with Frailty in Community-Dwelling Older Adults: The Itabashi Longitudinal Study on Aging. Clinical Interventions in Aging. 2026;21:1-8.