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等の地域での暮らしを安定化・永続化するため研究
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「美味しく楽しく食べること」は人生の楽しみですね。
食べる・飲み込む・会話するなどの口腔機能、咳をする呼吸機能は生きていくために最も重要な機能です。
そして口腔機能が低下すると、誤嚥が起こります。呼吸機能が低下すると咳のパワーが弱くて排出できません。そうして起こる"誤嚥性肺炎"は高齢者の死亡原因の大きな割合を占めています。
私達は、日本で昔から高齢者が行なっている「読経」を基盤にして、楽しく、そして学びながら、口腔機能・呼吸機能を向上させるプログラムを開発しました。歯科医師、医師、心理士、大学の教員でもある僧侶などが協力して作り上げた世界初の健康のための読経プログラムです。

僧侶がいればすぐにできます
僧侶はみんな読経ができるので、いつでも始めることができます。
対象は地域に住む住民の方です。場所は寺院だけでなく地域の会場を使うこともあります。
また、読経プログラムでは、布教は行いません。
健康プログラムとしての読経方法
読経プログラムでは法事とは少し違う方法でお唱えします。以下に注意してお経を唱えましょう。
- 姿勢を正して
- 喉をひらき、お腹から声を出し
- 息を長~く使い
- 口の形をダイナミックに使ってお唱えする

効果的なプログラムがあります
1)準備体操
読経の前に行う準備体操は、呼吸と口腔機能に着目した体操です。より深い呼吸を促す上半身のリラクゼーション、ストレッチや、口腔機能や嚥下機能に効果がある動きを取り入れた体操を行います。

2)話法
僧侶から、より良く生きる教えや知的好奇心を刺激する文化的内容の法話を聞きます。

3)仲間との語らい
僧侶と参加者数人のグループで、最近の暮らしぶりや心に抱えていることなどの談話会を行います。参加者同士や僧侶との交流の場になり、仲間ができて、次回も楽しみになる仕組みです。

心身への効果が証明されています
姿勢を正して息を長く使う読経による心身のリラックス、呼吸が深まり肺活量アップ、そして喉の動きも向上する効果がありました。大きな声で一心不乱にお唱えすることで、爽快感にもつながり、よりよく生きる意味を教わることが、精神的健康の向上にもつながることがわかりました。

参加者の声
社会実装に向けて、これまで東京都では港区の増上寺(浄土宗)、文京区の護国寺(真言宗豊山派)といった伝統仏教寺院、さらには豊島区の大正大学という一般ホールでも、地域のシニア住民向けプログラムを開催しました。
参加者の声を紹介します。

参加者には、身体面だけでなく心の健康への効果もみられました。寺院で実施することで、伝統仏教寺院と僧侶の役割を見直し、寺院が地域に貢献する重要な社会資源となり得ることが示されました。また、仲間とともに取り組み語り合うことで社会参加や孤立予防につながり、読経や法話を通して心の安らぎや生きる力を育む場となります。

社会実装にむけて
私たちの研究チームは、東京都健康長寿医療センター研究所の医師研究員、心理学研究員、歯科医師研究員および大正大学地域構想研究所の僧侶研究員、浄土宗総合研究所の僧侶研究員で構成されている他業種チームです。研究者には仏教寺院・特定宗派との利害関係はございません。
関連リンク

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超高齢社会の到来とSONIC研究
日本の高齢化は急速に進んでいます。前の東京オリンピックがあった60年前と比べると、平均寿命は女性で8年、男性では13年も伸びています(図1)。特に100歳以上の「百寿者」は2024年に9.5万人となり、10万人を超える日も近づいています。「人生100年時代」という言葉をよく耳にするようになりましたが、特別な話ではなく、誰もが長寿を経験する時代となっています。88歳の米寿、99歳の白寿、さらには100歳の百寿を目前とする長寿社会で、私たちの心身にどのような変化が生じるのでしょうか。また、長い高齢期をどのように生きていけば幸せになれるのでしょうか。
そこで当研究所では、大阪大学や慶應義塾大学と共同で、「SONIC研究」を行っています。これは、70歳、80歳、90歳の人々を10年以上に渡りその変化を追って行く「追跡研究」で、正式名「Septuagenarians,Octogenarians, Nonagenarians Investigation with Centenarians Study」の頭文字を
取っています1)。図2はこれまでのSONIC研究の歩みを示したものです。2010年から2024年までに総勢3345人の70代から90代の方にご参加いただき、中にはすでに100歳を超えた方もいます。
SONIC研究では健康長寿や幸せな高齢期を送るための要因を多角的に検討しています。ここでは、「心理」の面での研究成果をお伝えします。


超高齢者は体の機能が落ちても幸福感が高い
「ピンピンコロリ(PPK)で死にたい」「寝たきりで家族に迷惑をかけたくない」と考える人は多くいますが、百寿者はどのように感じているのでしょうか。
應義塾大学と共同で行った百寿者調査の結果2)からは、百寿者で身辺自立が可能な人は18%で、その他82%は何らかの介護を必要としていることがわかりました。しかし、健康状態を自己評価してもらうと、65%が「よい」と答えました。つまり、身体機能が低下していても、多くの百寿者は自分の健康状態を肯定的に評価しているのです。


この傾向は若年層と比べるとより明確です。図3の左のグラフは年齢別の幸福感(PGCモラールスケール)の高さを示しており、中でも自立度がほぼ要介護状態である人を抜き出したものを下のグラフに示しています。この図から、自立度の低下した前期高齢者(65 ~ 74歳)より同じ状態の超高齢者(85歳以上)の方が幸福感は高いことがわかりました。
高齢期の幸福感(精神的健康)には老年的超越が重要
このように自立度が低下しても幸福感を高く維持できる背景には、心理特性である「老年的超越」が関係しています3)。これは、高齢になると発達してくる「価値観の変化」を指し、社会常識や自分に対する意識、つながりに対する感覚が変わるとされています(図4)。日本では、老年的超越を8つの観点から測定する調査票も作成されています(図5)4)。


老年的超越は高齢者の幸福感や精神的健康(メンタルヘルス)と強く関係することが知られています。70歳代、80歳代の高齢者を対象とした調査では、老年的超越は、自立度や経済状況、他者との交流よりも、3年後の精神的健康に強い影響もたらすことが示されました5)。
さらに、自立度が低下した85歳以上の超高齢者において、幸福感の高い人と低い人を比べると、幸福感の高い人は「ひとりでいることを楽しむ」「見栄を張らない」「ありのまま・がんばらない」といった老年的超越の特性が高いことがわかりました(図6)。

老年的超越を高める要因
幸福感を高めるとされる老年的超越は、どのような条件で高まるのか見てみましょう(図7)。

第1に年齢があります。SONIC研究の結果からは、男女ともに70歳から79歳にかけて老年的超越が高まり、80歳代・90歳代で高止まりすることがわかりました6)。この結果は老年的超越が幸福感を高める重要な要因であることがわかります。
第2に性別があります。老年的超越は一貫して男性よりも女性の方が高く、老年的超越が持つ、他者への思いやりや感謝の気持ちといった特に女性で高いと思われる要素によるのかもしれません。
一方、老年的超越の変化には、「介護経験」が関係していることもわかっています。 70歳の高齢者を対象にした調査では、介護や介護の手伝いを経験した人の方がその後の6年間でより老年的超越が高まることが示されています。介護を通じた人生経験の困難や他者への理解が、老年的超越の発達を促進していると考えられます(図8)。

老年的超越を理解することの意義
老年的超越は、看護職や介護職も含め超高齢者を介護する人にとっても重要です。老年的超越を理解することにより、介護される超高齢者をよりポジティブに捉え、介護のストレスを低減できるとされています。健康、社会的交流、経済状況など、中年期まで重視していた視点を変えることで、超高齢化社会にしなやかに対応できるのかもしれません。
参考文献
- Kamide K, Ikebe K, Masui Y, Nakagawa T, Kabayama M, Akasaka H, Mameno T, Murotani Y, Ogawa M, Yasumoto S, Yamamoto K, Hirata T, Arai Y, Gondo Y; SONIC study group. Multidimensional insights about healthy aging from the cohort study for community-dwelling older adults: The SONIC study. Geriatr Gerontol Int. 2025.
- Gondo, Y., Hirose, N., Arai, Y., Inagaki, H., Masui,Y., Yamamura, K., Shimizu, K., Takayama, M., Ebihara, Y., Nakazawa, S., & Kitagawa, K. Functional status of centenarians in Tokyo, Japan: Developing better phenotypes of exceptional longevity. Journals of Gerontology-Series A Biological Sciences and Medical Sciences 61(3), 305‒310, 2006.
- Tornstam L : Gerotranscendence: A Developmental Theory of Positive Aging. Springer Publishing Company, New York, 2005.
- 増井幸恵,権藤恭之,河合千恵子,呉田陽一,高山緑,中川威,高橋龍太郎,藺牟田洋美 : 心理的well-beingが高い虚弱超高齢者における老年的超越の特徴-新しく開発した日本版老年的超越質問紙を用いて-. 老年社会科学, 32(1):33-47 ,2010
- 増井幸恵, 権藤恭之, 中川威, 小川まどか, 石岡良子, 稲垣宏樹, 蔡羽淳, 安元佐織, 栗延孟,小野口航, 髙山緑, 新井康通, 池邉一典,神出計, 石崎達郎.地域高齢者の精神的健康の縦断変化に及ぼす老年的超越の影響の検討:疾患罹患・死別イベントに対する緩衝効果に注目して.老年社会科学. 41(3):247-258, 2019..
- Masui Y, Nakagawa T, Yasumoto S, Ogawa M, Ishioka Y, Kasuga A, Hori N, Inagaki H, Yoshida Y, Ito K, Takayama M, Arai Y, Ikebe K, Kamide K, Ishizaki T, Gondo Y. Development in gerotranscendence in community-dwelling older adults in Japan: a longitudinal study over a nine-year period. J Adult Dev 2024.

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はじめに
私たちが通常「筋肉」と称しているのは、「骨格筋」です。標準的な男性や女性の骨格筋量は、体重の30~40%を占めます。筋肉にはビタミンCが存在しており、総量はとても多いです。私たちは、東京都板橋区在住の70~84歳の女性を対象とした横断調査により、血液中のビタミンC濃度が高い女性は、筋力や身体能力が高いことを明らかにしました。しかし、この調査からは、反対に血液中のビタミンC濃度が低い女性は、筋力や身体能力が低いという知見を得ることはできませんでした。
私たちは、この点を明らかにするため、からだの中でビタミンCを作れないビタミンC合成不全マウスを用いて、ビタミンCの不足が筋肉に及ぼす影響を調べました。すると、ビタミンCの不足期間が長くなるにつれ、性別に関係なく、筋肉が萎縮し、筋重量が減少しました。とても興味深いことに、ビタミンCを再び与えると筋重量や身体能力が急速に回復しました。
本稿では、筋肉とビタミンCとの関連について、私たちの研究成果を紹介します。
筋肉の種類と特徴
私たちのからだを校正する筋肉は、大きく「骨格筋」「心筋」「平滑(内臓)筋」の3種類に分けられます。このうち、私たちが通常「筋肉」と称しているのは「骨格筋」です。標準的な男性や女性の骨格筋量は、体重の30~40%を占めます。骨格筋は、両端にある腱が骨に結合し、筋肉が収縮したり弛緩したりして、からだのバランスを整えたり、走るなどの運動ができます。また、骨格筋は、筋線維の構造上の特徴や収縮速度の違いから「遅筋(赤筋)」と「速筋(白筋)」の2種類に分類されます(図1)。遅筋は収縮速度が遅く、長い間収縮し続けることができます。そのため、長時間の持続的な運動に適しています。一方、速筋は収縮速度が速く、瞬発的な動きや大きな力を必要とする運動に適しています。

血液中のビタミンC濃度が高い女性は、筋力が強く、身体能力が高い*1
私たちは、筋力とビタミンCとの関連を調べるため、東京都板橋区在住の70~84歳の女性(957人)を対象とした横断調査を実施しました。この時の調査項目は、身長、体重などの身体計測や運動機能の測定、血液検査によるビタミンC濃度の測定です。そして、解析には面接聞き取り調査によるビタミンCサプリメント摂取者を除いた655名分のデータを使用しました。解析の結果、血液中のビタミンC濃度が高い女性は、握力が強く、片足で立っていられる時間が長く、通常の歩行速度が速いなど、同世代の中でも運動機能が高いことがわかりました(図2)。つまり、血液中のビタミンC濃度の高い女性は、筋力が強く、身体能力が高いです。

ビタミンCの不足は筋力を低下させる*2、3
逆に血液中のビタミンC濃度が低い女性は、筋力が弱いのでしょうか?残念ながら、板橋区での横断調査からは、この結論を得ることができませんでした。ヒトでの前向き臨床試験により確かめたい思いはありますが、ビタミンCの不足により筋力が低下することを確かめるような、ヒトの健康を害する臨床試験は許可されません。そこで私たちは、ヒトと同様にビタミンCを合成できないマウスを用いて、ビタミンCの不足が筋肉に及ぼす影響を調べました。その結果、ビタミンCの不足期間が長くなるにつれ、筋肉が萎縮し、筋重量が減少することがわかりました(図3)。同時に、握力や全身持久力、自発的活動量などの身体能力も低下しました。

さらに、とても興味深いことに、ビタミンCを再び与えると筋重量や身体能力が急速に回復しました。(図4、5)。

筋活にはビタミンCの摂取が必要
ビタミンCは、食品や飲料、サプリメントなどから安価で容易に摂取できます。しかし、ビタミンCは水溶性のため、尿から排泄されやすく、からだの中での消費量も多いです。そのため、私たちは気づかないうちにビタミンCの不足状態に陥っている可能性があります。ビタミンCの不足状態が長くなると、ビタミンCを合成できないマウスを用いた研究からも筋肉が萎縮し、筋重量が減少します。これを避けるためにも、私たちはビタミンCを十分に摂取するよう日頃から心がける必要があります。厚生労働省は、「日本人の食事摂取基準(2020年度版)」の中で、1日のビタミンC推奨量を100ミリグラム(いちご5~6個ぐらい)と定めています。筋活のためにもビタミンCを積極的に摂取しましょう。
文献
- Saito K, Yokoyama T, Yoshida H, Kim H, Yoshida Y, Iwasa H, Kondo Y, Handa S, Ishigami A, Maruyama N, Suzuki T. : A significant relationship between the plasma vitamin C concentration and physical performance among Japanese elderly women. J. Gerontol. A Biol Sci. Med. Sci. 67, 295-301 (2012)
- Takisawa S, Funakoshi T, Yatsu T, Nagata K, Aigaki T, Machida S, Ishigami A. : Vitamin C deficiency causes muscle atrophy and a deterioration in physical performance. Sci Rep. 9, 4702 (2019)
- Takisawa S, Takino Y, Lee J, Machida S, Ishigami A. : Vitamin C is essential for the maintenance of skeletal muscle functions. Biology (Basel) 11, 955 (2022)

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はじめに
日本では、少子高齢化の進展に伴い、要介護認定者の増加や介護人材不足が深刻な課題となっています。その解決策の一つとして、福祉と生活ケア研究チームでは、地域にお住まいの方が介護予防サービスの担い手としてデイサービスで働くプログラム「サブスタッフ養成講座」の開発と効果評価を行っています。サブスタッフとは、介護予防の知識と技術を持ち、守秘義務を負い、デイサービス職員の支援のもとケアプランに従って自立に向けたケアを有償で提供する補助スタッフです。
サブスタッフの養成を通じて、いつまでも地域で役割が感じられ、多様な主体によるサービスが充実している地域を目指しています。
本稿では、私たちのチームで開発した「サブスタッフ養成講座」のプログラムをご紹介します。
サブスタッフ養成講座の概要
サブスタッフ養成講座では、まずデイサービスでの養成講座に参加していただき(step1)、養成講座修了後、サブスタッフとして2年間デイサービスにて介護予防サービスに従事します(step2)。利用者への関わり方を学び、経験を積んだ後は、地域で介護予防活動を担うことを目指します(step3)。
サブスタッフ養成講座は、地域にお住まいの方がデイサービスで介護予防サービスが提供できるようになることを目的とした4 カ月間のプログラムです。受講生はデイサービスに通い、デイサービス職員による講義と実習を受けます。
※詳細はパンフレットをご参照ください。
受講生への影響
サブスタッフ養成講座の受講生への効果を検証することを目的に、介護予防の理解度と活動の自信について聴取しました。その結果、介護予防の理解度の各項目は、参加前と比べて参加後ではいずれも統計的に意味のある向上を示し、サブスタッフ養成講座に参加することによって、介護予防の知識が向上し、受講生本人の介護予防につながることが期待できます。また、デイサービスでの活動の自信も、参加前と比べて参加後では統計的に意味のある向上を示したことから、養成講座に参加することでデイサービスでの活動の自信が高まる効果があることが分かりました。
サブスタッフ養成講座修了後の受講生の活動状況について聴取したところ、半数以上がデイサービスでの活動を継続していました。さらに、デイサービスでの活動以外の新しい地域活動を実施していた者も合わせると、修了者全体の約65% が新たな活動につながっており、サブスタッフ養成講座により受講生の地域活動への参加を促進できることが分かりました。
受講者の声
定期的にデイサービスに通って利用者と関わることは、生きがいや楽しみになりました。サブスタッフ養成講座で学んだことが自分自身の介護予防にもつながりました。サブスタッフ養成講座を通して、地域とつながりができ、自分には縁がないと思っていたデイサービスが身近に感じられるようになりました。
サービス利用者への影響
デイサービスに通う利用者が同年代の地域の方から介護予防サービスの提供を受けることは、利用者が劣等感を抱くなどの精神的な負の影響が懸念されます。そこで、サブスタッフ養成講座を実施しているデイサービスに通う利用者を対象に、受講生からのサービス提供前後に、受講生から介護予防サービスの提供を受けた者と受けなかった者に対して「過去1 カ月間に心理的な問題にどのくらい悩まされたか」について聴取したところ、統計的に意味のある差は認められませんでした。この結果から、受講生の関わりは利用者の精神面に負の影響を与えないことが考えられました。
デイサービスへの影響
サブスタッフ養成講座の実施には、デイサービスに講座開催に伴う新たな負担をお願いすることになり、養成講座の費用だけでなく、業務的な負担を超えるメリットがあることが必要です。そこで、サブスタッフ養成講座を実施したデイサービスに、地域住民の介護予防サービスへの参加によって職員の仕事量はどの程度軽減されたかについて聴取しました。この結果、「軽減された」と回答したデイサービスは8割以上でした。したがって、サブスタッフはデイサービスの業務の一部を担うことができ、職員の仕事量を軽減できるメリットがあると考えられました。
サブスタッフ養成講座は、受講生自身、利用者、デイサービスの3 者それぞれにメリットがあるプログラムです。サブスタッフ養成講座を通じて、ご自身も地域も元気になる地域づくりを目指しています。

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はじめに
我が国の認知症者は2025年に700万人になると予想されています。そして認知症による行方不明者は年々増加し、2020年には17,656人に達し527人が死亡しています。しかし、この人数は警察に行方不明者届が出された人に限っていて、実際はもっと多くの人が行方不明になっていると考えられます。
このような状況を鑑み、福祉と生活ケア研究チームでは認知症による行方不明の研究を行ってきました。ここでは研究から明らかとなった認知症による行方不明の実態と、認知症の方のご家族に参考となる知識と行方不明対策について説明したいと思います。
一人歩き(徘徊)と行方不明
認知症になると行動・心理症状と呼ばれる様々な状態が生じますが、その中の一つに一人歩きがあります。以前は何の目的も無く歩いていると思われていましたが、現在は本人なりの理由があり歩いていると考えられています。しかし一人歩きと行方不明は違います。一人歩きをしていてもご家族が付添っていたり、本人がGPS(Global Positioning System)と呼ばれる位置情報を知らせる機器を持っていて、ご家族が居場所を把握できれば行方不明とは考えられません。つまり、行方不明とは一人歩きをしてご家族や介護サービス担当者などが本人の居場所を把握できなくなった状態を示すと考えられます。一方、独居認知症高齢者が一人歩きで自分の居場所が分からなくなり家に帰ることができなくなっても、それに気づいてくれる人がいなければ行方不明とは言えません。つまり一人歩きは認知症による行動・心理症状により生じますが、行方不明は社会的に規定される状態と考えられます。なお徒歩に限らず、自転車や自動車、バスや電車などを利用することもあり、ご家族が同居していても一瞬目を離した隙にいなくなることもあります。
軽度の認知症でも行方不明になることがある
では、皆さんはどのような人が行方不明になると思いますか。多くの人が中等度から重度の認知症の人が行方不明になると考えていませんか。しかし、研究から軽度の人でも行方不明になることが分かりました。グラフはFAST(Functional Assessment Staging)と呼ばれる認知機能の程度を示す指標に行方不明者のご家族が回答したものです。中等度以上が多いですが、ご家族から見て軽度あるいは認知症とは思えない状態でも行方不明になることがあります。
行方不明による生死を分ける要因と死因
研究所では行方不明の死亡に関連する要因を研究してきました。その結果、行方不明から発見までの期間が長いこと、行方不明時に独居であることが発見時の死亡と関連していることが分かりました。行方不明になってから翌日までは生存して発見される例が多いですが、3日目以降では生存する可能性は急激に低くなります。独居の場合、行方不明になったことに気づくのが遅れ、それが捜索開始の遅れにつながり、結果として発見の遅れにつながると考えられます。
また、死因は溺死と低体温症が多いことが分かっています。そして死因には認知機能の程度が関係していることが分かりました。溺死は水の中への転落であり広義の意味で事故と考えられます。それに対して低体温症は屋外で長時間過ごし体温の低下が生じた結果としての死亡です。
認知機能の低下が重度であると危険を回避する能力が低下し事故に遭いやすくなり、その結果として溺死が多くなると考えられます。しかし、事故の中で何故溺死が多いのかはまだ分かっていません。
それに対して、認知機能の低下が軽度であると危険を回避する能力がある程度維持されているため事故に遭いにくくなります。しかし、誰からも保護されることなく長時間一人歩きをすることにより低体温症で死亡すると考えられます。
認知症の人の行方不明対策
認知症による行方不明は何時発生するか分かりません。ではどうすれば良いのでしょう。
1.心構え
認知症の人のご家族は、軽度の認知症でも行方不明になること、行方不明は何時発生するか分からないことを意識しておく必要があります。これは実際に行方不明になった時に慌てずに対応するために必要なことです。なお、行方不明者を発見した人の半数は探していた人ではなく偶然見つけた人です。もし様子がおかしい高齢者を見つけたら勇気を出して声をかけてみて下さい。その一声が認知症高齢者の命を救うかもしれません。
2.事前の対策
認知症の人のご家族は、軽度の認知症でも行方不明になること、行方不明は何時発生するか分からないことを意識しておく必要があります。これは実際に行方不明になった時に慌てずに対応するために必要なことです。なお、行方不明者を発見した人の半数は探していた人ではなく偶然見つけた人です。もし様子がおかしい高齢者を見つけたら勇気を出して声をかけてみて下さい。その一声が認知症高齢者の命を救うかもしれません。
3.行方不明になったとき
認知症の人のご家族は、軽度の認知症でも行方不明になること、行方不明は何時発生するか分からないことを意識しておく必要があります。これは実際に行方不明になった時に慌てずに対応するために必要なことです。なお、行方不明者を発見した人の半数は探していた人ではなく偶然見つけた人です。もし様子がおかしい高齢者を見つけたら勇気を出して声をかけてみて下さい。その一声が認知症高齢者の命を救うかもしれません。
主要文献
粟田主一、菊地和則、伊集院睦雄、鈴木隆雄:徘徊などで行方不明となった認知症の人に関する実態調査〈追補版〉.厚生労働科学研究費補助金
厚生労働科学特別研究事業 認知症高齢者の徘徊に関する実態調査 平成26年度総括・分担報告書、1-123、2015.
菊地和則、伊集院睦雄、粟田主一、鈴木隆雄:認知症の徘徊による行方不明者の実態調査、老年精神医学雑誌、27(3)、323-332、2016.
菊地和則、伊集院睦雄、粟田主一、鈴木隆雄:認知症の徘徊による行方不明死亡者の死亡パターンに関する研究、日本老年医学会雑誌、53(4)、
363-373、2016.
Kikuchi, K., Ijuin, M., Awata, S., Suzuki T.:Exploratory research on outcomes for individuals missing through dementia wandering in Japan,
Geriatr Gerontol Int 19(9): 902-906, 2019.
菊地和則、大口達也、池内朋子、粟田主一:独居認知症高齢者の行方不明の実態-150事例からの報告-、老年精神医学雑誌、469-479、2021.
警察庁資料及び厚生労働省資料
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鈴木宏幸、飯塚あい
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