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医療健康コラム

DESH(デッシュ) をチェック~水頭症を見過ごさないために~

2025年09月16日
脳神経外科 専門部長 高梨成彦
高梨成彦先生
脳神経外科 専門部長
高梨 成彦(たかなし しげひこ)

ふらつく、ぼんやり、尿もれは水頭症が原因かもしれません。

歳をとると足腰が弱ってふらついて転びやすくなりますよね。もの忘れも進んでぼんやりして、尿が近くなって漏れることも多くなります。「正常圧水頭症」もそれと似たような症状が出てきます。そのため「老化だからしょうがない」と見過ごされやすい病気です。でも溜まった水=髄液を抜く手術をすれば良くなりますので、あきらめることはありません。

水頭症は見過ごされているとだんだん悪化する

そのように見過ごされやすいので水頭症患者のうち病院を受診しているのは1割くらいしかいないと推測されています。また水頭症と診断がつく前に1/4ほどが転んで脊椎や大腿骨の骨折を負っていたという報告があります。さらに治療が遅くなった患者は死亡率が高くなっていたという報告もあります(グラフ1)。見過ごされた水頭症の患者さんが転んで足の骨を折って歩けなくなってしまったり、徐々に弱って亡くなられたりしているのかもしれません。早く診断して適切に治療しなければいけないですね。

水頭症01グラフ1 特発性正常水頭症(iNPH)患者における治療開始時期と生存率の関係

「DESH」は水頭症を見つけるために大事

水頭症02図1 水頭症患者と水頭症ではない患者のCT 画像

水頭症の患者さんを診断するために役にたつのが、CTやMRI検査でのDESHという所見です。

図1は水頭症患者と水頭症ではない患者のCTが並んでいます。どちらも脳室という髄液が入っている部屋が大きくなっています。水頭症ではない患者さんは髄液が溜まっていないのですが、歳をとって脳が縮むとスキマは拡がるので脳室も大きくなります。脳室だけを見ていると水頭症患者と脳が縮んだ高齢者とを見分けられません。

そこで私たちは頭頂部の脳のシワ、脳溝を見ます。水頭症でないとスキマ=脳溝が拡がっていますが、水頭症患者では狭くなっています。

髄液が溜まると脳が頭頂部にむかって押し上げられます。すると脳溝が骨に押し付けられて平らに狭くなるのです。これをDESH=Disproportionately Enlarged Subarachnoid-space Hydrocephalus(くも膜下腔が不均一に拡大した水頭症)と呼びます。頭頂部の溝だけ狭くなるので不均一ということです。DESHが認められれば水頭症のシャント手術が効きやすく、8割の患者で歩行が改善したという報告があります。

頭部CTやMRI検査を受けたらDESHがないか確認しましょう。

水頭症03

当センターでは他の科で他の目的で撮影した検査でDESHが見つかった場合でも、脳神経外科に相談をいただいています。それまでは本人が気にしていなかった症状がこれをきっかけに自覚されることがあります。

また初めは症状が無くても3年ほどすると半分くらいに症状が出てきたという報告があります。

皆さんも検査を受けたらDESHがなかったか自分で確認しましょう。たとえば頭部を打撲して救急外来でCT検査を受けたときはDESHでなかったか担当の先生にきいてみましょう。救急の現場は脳挫傷や脳出血といった一刻をあらそう病気の診断が優先されますから、水頭症については説明が不十分になってしまうことがあります。DESHであったとわかれば水頭症専門外来で経験豊富な医師がご相談にのります。その後の診断と治療についてはホームページをご参照ください。

正常圧水頭症の解説ページはこちら(HTML)

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